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2023年12月04日
地籍簿に国土調査に基づく地籍調査の際測量結果を誤って記載したことから、登記簿上の地積が誤って表示された場合に、地籍調査等を担当した職員に過失があるとして、自治体に対する賠償請求が認められた事例

地籍簿に国土調査に基づく地籍調査の際測量結果を誤って記載したことから、登記簿上の地積が誤って表示された場合に、地籍調査等を担当した職員に過失があるとして、自治体に対する賠償請求が認められた事例

 

福岡高等裁判所宮崎支部判決/昭和62年(ネ)第193号

平成元年3月27日

損害賠償請求控訴事件

【判示事項】    1、地籍簿に国土調査に基づく地籍調査の際測量結果を誤って記載したことから、登記簿上の地積が誤って表示された場合に、地籍調査等を担当した職員に過失があるとして、自治体に対する賠償請求が認められた事例

2、不動産競売事件において登記簿上の地積に基づき評価書を提出した評価人及びこれを基礎に最低売却価額を決定して競売手続を進行した裁判官に過失がないとして、国に対する損害賠償を認めなかった事例

【判決要旨】    1 町が国土調査事業として実施した土地の地籍調査による実測面積(413.32平方メートル)を、誤って過大(613.32平方メートル)に地籍簿に記載し、その過大記載の地籍簿の送付を受けたことにより登記所が地積の変更登記をしている場合、右土地の不動産競売において、評価人がその登記簿上の面積を信用して右土地の評価額を算定し、執行裁判所がそれを基にして最低売却額を決定したときは買受人は本来ならば実測面積に即する安い価額にて右土地を買い受けることができたものであるところ、右登記簿上の面積の誤記により、不要な買受代金の支出を余儀なくされたため、損害を被ったものというべく、町は、国家賠償法1条1項により、右誤記に基づき買受人に生じた相当因果関係にある損害を賠償するべき義務がある。

2 不動産競売における土地の評価人は、その土地の地積につき、特別の事情のない限り厳密な測量をするまでの義務はなく評価の前提としていちおうの概測をすれば足りる。

【参照条文】    国家賠償法1

【掲載誌】     判例タイムズ713号106頁

          金融法務事情1227号33頁

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