フジシール事件(配転・降格)
配転命令無効確認等請求事件
【事件番号】 大阪地方裁判所判決/平成11年(ワ)第4732号
【判決日付】 平成12年8月28日
【判示事項】 1 会社の就業規則上、業務上必要があるときは異動を命じ得る旨の規定があり、雇用契約上、原告の職種には限定はなく、原告が勤務地の限定のない全国社員を選択していたことに照らせば、会社には、原告の個別的同意がなくとも、配転を命ずる権限があるが、当該配転について、業務上の必要性がない場合や、業務上の必要性があったとしても他の不当な動機・目的をもってなされたものである等の特段の事情がある場合には、当該配転命令は権利の濫用として無効となるとされた例
2 開発部長に対する筑波工場への本件配転命令1につき、業務上の必要性があったものとはいえず、退職勧奨拒否に対する嫌がらせというべきで権利の濫用であるとして無効とされた例
3 本件配転命令1の前に命じられた自宅待機は、配転命令1と一体の処分であり、不当な動機・目的を有する無効なものとされた例
4 奈良工場への本件配転命令2につき、従前は嘱託社員が行っていたゴミ回収業務に、原告を配置する業務上の必要性はなく、権利の濫用であるとして無効とされた例
5 部長から副参事職への本件降格処分について、懲戒処分としての降格処分としても、会社の就業規則に降格処分の要件が定められていないことから無効であり、人事権行使によるものとしても、会社の就業規則に定めた職能資格の引き下げに関する要件、手続が遵守されていないとして無効とされた例
6 原告が取引先との間で問題を起こしたことを理由とする部長職の解職は理由があるとして、役職手当の差額請求が棄却された例
【掲載誌】 労働判例793号13頁
労働経済判例速報1765号3頁