第21章 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等
(1) 公開会社における募集株式の割当て等の特則
公開会社(株式に譲渡制限を定めていない会社)において、支配株主の異動を伴う募集株式の発行等について、通知または公告を行い、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が反対する旨の通知を会社にしたときは、株主総会の普通決議を経なければならないとされました(206条の2)。
① 公開会社は、募集株式の引受人について、アに掲げる数のイに掲げる数に対する割合が2分の1を超える場合には、払込期日等の2週間前までに、株主に対し、当該引受人(特定引受人)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についてのアに掲げる数等を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合等は、この限りでない。(第206条の2第1項関係)
ア 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
イ 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
② ①による通知は、公告をもってこれに代えることができる。株式会社が①の事項について払込期日等の2週間前までに金融商品取引法第4条第1項から第3項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがない場合には、当該通知は、することを要しない。(第206条の2第2項・第3項関係)
③ 総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が特定引受人による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、払込期日等の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て等の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。(第206条の2第4項・第5項関係)
(2) 公開会社における募集新株予約権の割当て等の特則
① 公開会社は、募集新株予約権の引受人について、アに掲げる数のイに掲げる数に対する割合が2分の1を超える場合には、割当日の2週間前までに、株主に対し、当該引受人(特定引受人)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についてのアに掲げる数等を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合等は、この限りでない。(第244条の2第1項関係)
ア 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集新株予約権に係る交付株式の株主となった場合に有することとなる最も多い議決権の数
イ アの場合における最も多い総株主の議決権の数
② ①アの「交付株式」とは、募集新株予約権の目的である株式、募集新株予約権が株式を対価とする取得条項付新株予約権である場合における当該株式等をいう。(第244条の2第2項関係)
③ ①の場合についても、(1)②及び③と同様の規定を設ける。(第244条の2第3項~第6項関係)