商法第12条(会社法908条)と第三者相互間における適用の有無
仮差押執行異議事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和27年(オ)第957号
【判決日付】 昭和29年10月15日
【判示事項】 商法第12条と第三者相互間における適用の有無
【判決要旨】 商法第12条は第三者相互の間においては適用がない。
【参照条文】 商法12
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集8巻10号1898頁
判例タイムズ45号28頁
【評釈論文】 金融法務事情56号26頁
別冊ジュリスト49号26頁
別冊ジュリスト84号22頁
別冊ジュリスト129号16頁
別冊ジュリスト243号10頁
登記先例解説集30巻8号67頁
法学協会雑誌74巻1号93頁
会社法
(登記の効力)
第九百八条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人樋口恒蔵、同井田憲次の上告理由について。
原判決は、訴外宮関合名会社の解散並びに清算人の選任は当時同会社の残存総社員の一致の意見によつてなされたものであるから有効であると判示するものであつて、たとえ右解散の登記に申請人として死亡社員の氏名を併記した事実があつたとしても右解散並びに清算人の選任それ自体の効力に何ら消長を及ぼすものでないことは勿論である。又、商法一二条は登記当事者が登記すべき事項を以て第三者に対抗し得べき場合を規定したのであるから、本件のごとく、会社の清算人から動産を買受けた被上告人(原告)が第三者たる上告人(被告)に対し右所有権を主張する場合には、同条は、その適用を見ず、従つて所論清算人選任登記の効力如何にかかわらず被上告人は右所有権を上告人に対し主張することを得るものと解すべきである。論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用し、全裁判官一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷