『障害法 第2版』成文堂
菊池馨実・中川 純・川島 聡 編著
発 行 : 2021年12月20日
税込定価 : 2,860円(本体2,600円)
判 型 : A5判並製
ページ数 : 270頁
ISBN : 978-4-7923-2777-4
コメント
秀逸な基本書。
類書は少ない。
欲を言えば、「障碍者と住まい」の章が欲しい。
■内容紹介
《目 次》
第2版へのはしがき i
初版のはしがき ii
目次 v
凡例 xv
第1章 障害法の基本概念 川島 聡・菊池馨実
1 障害と障害者の概念 2
1-1 障害の概念 4
(1) 障害のモデル(4)
(2) 障害の概念の多義性(7)
(3) 障害の法的概念 (8)
1-2 障害者の概念 10
(1) 障害者の法的定義(10)
(2) 生活制限の原因(11)
(3) 障害者像の多次元性(12)
2 障害法の法的位置づけ 16
2-1 障害法の範囲 16
2-2 障害法の体系 17
2-3 障害法の法源 18
(1) 憲法(18)
(2) 条約(19)
(3) 法律(19)
(4) 政令・省令・告示(20)
(5) 条例・規則(21)
(6) 通達・要綱など(21)
(7) 不文法(22)
3 障害法の理念 22
3-1 条約と法律 22
3-2 憲法 24
4 障害法の方法論 26
4-1 法解釈アプローチ 26
4-2 法政策アプローチ 27
4-3 比較法アプローチ 27
第2章 日本の障害法 中川 純・新田秀樹
1 日本の障害法の歴史 32
1-1 排除と隔離の時代(明治期から第2次世界大戦敗戦〈1945年〉直後頃まで) 32
1-2 保護と更生の時代(身体障害者福祉法制定〈1949年〉頃から国際障害者年〈1981年〉頃まで) 33
1-3 自立支援と参加の時代(国際障害者年〈1981年〉頃から障害者自立支援法制定〈2005年〉頃まで) 34
1-4 共生と包摂の時代(障害者自立支援法制定〈2005年〉頃から現在まで) 37
2 日本の障害法の構造と現状 41
2-1 障害者の定義 41
(1) 制度ごとで異なる障害者の定義(41)
(2) 障害者の主要な定義(41)
(3) 障害者手帳・等級とその汎用(45)
(4) 障害者の定義の未来像(46)
2-2 障害者差別禁止と合理的配慮 47
2-3 雇用をめぐる障害者施策 47
(1) 障害者に対する2つの就労施策(47)
(2) 一般就労移行支援(48)
(3) 就労系障害福祉サービス(48)
2-4 障害者の所得保障の現状 48
(1) 自立生活と工賃・賃金の低さ(48)
(2) 障害者に対する所得保障制度:障害年金と生活保護(49)
2-5 障害者福祉サービス支給方式 50
(1) 障害者に対する福祉サービス支給方法の変遷(50)
(2) 障害者のニーズを反映したサービスへ(50)
2-6 障害児の学校選択 51
2-7 障害者と成年後見制度 52
(1) 障害者の民法上の権利能力と成年後見制度(52)
(2) 成年後見制度の問題点(52)
2-8 障害者と刑事司法 53
(1) 障害者と刑事手続(53)
(2) 障害を有する受刑者と施設内処遇、更生保護(53)
第3章 国連と障害法 川島 聡
1 国連障害政策の史的展開 56
1-1 萌芽期(1945年~1975年) 56
1-2 進展期(1976年~2000年) 58
1-3 変革期(2001年~2014年) 60
2 障害者権利条約の概要 62
2-1 目的 62
2-2 一般原則 63
2-3 国家の義務 64
2-4 国際的実施 68
2-5 条約と日本 69
第4章 障害と憲法 尾形 健
1 憲法と障害者 76
1-1 現代法における人間観と障害者 76
(1) 法思想における人間観の変容(76)
(2) 現代憲法における障害者(77)
1-2 憲法における障害者 78
2 障害者の権利保障と憲法 80
2-1 憲法上の平等原則と障害者 80
(1) 憲法上の平等原則(80) (1) 障害に基づく区別(80)
(2) 合理的配慮と憲法上の平等原則(81)
(3) 障害者の教育を受ける権利と平等原則(82)
2-2 移動の自由の保障と障害者 83
2-3 障害者の参政権保障 84
2-4 障害者と職業の自由 86
2-5 障害者の生存権保障 87
(1) 憲法25条の具体化措置と立法府の裁量(87)
(2) 障害者の介護サービスと生存権保障(88)
2-6 障害者の権利と刑事手続 89
第5章 障害と民法 上山 泰・菅 富美枝
1 法的主体としての障害者 96
2 成年後見制度 97
2-1 知的障害、精神障害の存在と契約責任 ──「意思能力」と「行為能力」── 97
2-2 成年後見制度(1) ──法定後見制度── 98
2-3 成年後見制度(1) ──任意後見制度── 100
2-4 自己決定支援と成年後見制度の再構築 101
3 障害と契約法 102
3-1 契約内容決定の自由と障害 102
3-2 契約締結の自由と障害 104
3-3 消費者(契約)法理と障害 105
4 障害と不法行為法 107
4-1 障害者が加害者として登場する場面 107
(1) 責任能力(107)
(2) 民法714条の監督義務者責任(109)
4-2 障害者が被害者として登場する場面 110
(1) 過失相殺能力(110) (1) 被害者の素因としての障害(111)
(2) 障害者の逸失利益(112)
5 障害と家族法 114
5-1 家族法上の能力制度 114
5-2 精神病離婚 114
5-3 身体障害者による遺言 116
5-4 家族法による障害者の生存権保障 117
6 おわりに 118
第6章 障害と差別禁止法 長谷川 聡・長谷川 珠子
1 障害(者)差別禁止法とは? 123
2 障害差別禁止法の意義と背景 124
2-1 障害差別禁止法の歴史 125
(1) 障害差別禁止法の誕生(125)
(2) 障害差別禁止法の発展(126)
(3) 障害者権利条約(126)
2-2 日本における障害差別禁止法の展開 127
(1) 障害者差別を禁止する日本の法制度(127)
(2) 権利条約採択「前」(128)
(3) 権利条約採択「後」(128)
3 日本の障害者差別禁止法の仕組み 129
3-1 障害者差別禁止法を構成する法制度 129
(1) 法制度の相互関係(129)
(2) 障害者差別禁止法の枠組みと特徴(130)
3-2 障害・障害者の定義 132
3-3 禁止される差別 134
(1) 差別の禁止(134)
(2) 合理的配慮の提供義務(135)
3-4 差別禁止を実現する制度 137
4 障害差別禁止法の展開 139
4-1 日本の障害者差別禁止法の意義 139
4-2 諸外国の障害差別禁止法の枠組み 139
4-3 日本の障害者差別禁止法の特徴と課題 140
(1) 障害者の範囲の広さ・明確化(140)
(2) 何を理由とする差別を禁止するか(141)
(3) 禁止する差別の明確化と拡大(141)
(4) 法的救済の根拠規定の整備(142)
(5) 差別禁止を実現する専門的機関の設置(143)
4-4 障害(者)差別禁止法の未来 143
第7章 障害と労働法 小西啓文・中川 純
1 障害と労働法 147
2 採用に際してのサポートシステム ──障害者雇用促進制度のスキーム── 147
2-1 障害者雇用促進制度の展開 147
2-2 障害者雇用促進制度の目的 148
2-3 雇用率制度の概要と展開 149
2-4 障害者雇用納付金制度の存在 150
2-5 障害者雇用の現状 152
2-6 法改正の効果 152
3 採用後のサポートシステム 154
3-1 使用者の安全配慮義務 154
3-2 配転・職場復帰と賃金差別の問題 156
4 労働関係の終了時のサポートシステム 157
5 「新しい考え方」を見据えて ──ここまでのまとめ── 158
6 障害者雇用施策の概要 159
6-1 障害者と労働・就労 159
6-2 二層構造モデルと三層構造モデル 159
6-3 障害者自立支援法による多層構造モデルへの移行 162
6-4 就労系障害福祉サービス 163
(1) B型事業(163)
(2) A型事業(163)
(3) 移行支援事業(165)
(4) 定着支援事業(166)
(5) 報酬加算と減算(167)
6-5 三層構造モデルから多層構造・ハイブリッドモデルへ 167
7 一般就労移行支援 168
7-1 職業リハビリテーション 168
7-2 障害者職業センター 169
7-3 障害者就業・生活支援センター 170
7-4 ハローワーク(公共職業安定所) 170
8 障害者雇用の現状 171
9 障害者の労働・就労に対する報酬 172
9-1 賃金と工賃 172
9-2 最低賃金法の減額特例 173
第8章 障害と教育法 今川奈緒・織原保尚
1 障害児教育法制の歴史的変遷 176
1-1 明治期から戦前にかけて 176
1-2 特殊教育の義務化─戦後・現行憲法下において─ 178
1-3 特殊教育の進展 180
1-4 特別支援教育の時代 181
2 障害児教育法制における仕組みの問題 ──就学先決定の仕組みについて── 183
2-1 インクルーシブ教育と特別支援教育 183
(1) 特別支援教育(183)
(2) 指導要領改訂(184)
(3) インクルーシブ教育における特別支援学校の位置づけ(184)
2-2 学校・学級選択をめぐる問題 187
(1) 2013年学校教育法施行令改正の趣旨 ──認定特別支援学校就学者制度への移行──(187)
(2) 就学先決定の際の手続制度(190)
2-3 就学先決定の仕組みについての検討 191
3 障害者差別解消法と高等教育 193
第9章 障害と社会保障法 福島 豪・永野仁美
1 障害者への福祉サービス 196
1-1 障害者のニーズ 196
1-2 障害者手帳 197
(1) 身体障害者手帳(198)
(2) 療育手帳と精神障害者保健福祉手帳(199)
1-3 福祉サービス保障の仕組み 200
(1) 自立支援給付(200)
(2) 利用者負担(202)
(3) 地域生活支援事業と措置(203)
1-4 福祉サービス利用の過程 204
(1) 支給決定(204)
(2) サービス利用計画の作成とサービスの利用(206)
2 障害者への所得保障 206
2-1 障害年金 207
(1) 障害基礎年金(207)
(2) 障害厚生年金(208)
(3) 障害認定基準(209)
(4) 支給額(210)
(5) 所得制限(212)
2-2 特別障害者手当 212
2-3 生活保護 213
(1) 生活保護の目的・基本原理(213)
(2) 障害に対する配慮(214)
3 課題 215
3-1 福祉サービスの利用にかかる費用の保障 215
3-2 無年金障害者の存在 216
(1) 学生無年金障害者訴訟(216)
(2) 特別障害給付金制度の創設(216)
(3) その他の無年金障害者と生活保護(217)
(4) 就労との関係(217)
3-3 今後の社会保障の在り方 218
第10章 障害と刑事司法 池原毅和
1 刑事法制を動かす社会意識 221
2 障害と刑法 222
2-1 刑事責任能力の社会モデル化 222
2-2 虐待、差別からの保護 225
3 障害と刑事訴訟法 227
3-1 障害のある人が被疑者・被告人になる場合 227
(1) 被疑者段階(227)
(2) 公判段階(229)
3-2 障害のある人が被害者になる場合 230
3-3 障害のある人が証人、傍聴人になる場合 231
3-4 障害のある人が裁判員になる場合 231
4 障害と刑事施設処遇法 232
4-1 刑事施設内での医療 232
4-2 刑事施設のバリアフリー化と出所後の社会定着化 233
5 障害と精神保健福祉 234
5-1 他害行為と措置入院 234
5-2 他害行為と心神喪失者等医療観察法 236
(1) 心神喪失者等医療観察法の概要(236)
(2) 障害者権利条約から見た心神喪失者等医療観察法の問題点(237)
5-3 刑罰と精神医療の間隙(制度間滲潤;Blurring) 239
事項索引 242
判例索引 246
コラム一覧
1-1 障害法と障害者法 3
1-2 英米の社会モデル 5
2-1 措置から契約へ 35
2-2 「社会モデル」的「障害者」の定義とその実情 42
3-1 条約の正文と公定訳文 72
3-2 新しい言葉と概念 73
4 障害者権利条約の私人間適用 91
5-1 民事訴訟手続における能力 119
5-2 人事訴訟手続と家事事件手続における能力 120
6-1 条例における障害差別禁止法 133
6-2 障害差別をめぐる差別概念 136
7-1 特例子会社制度について 151
7-2 二元的構造モデルへ:中間就労形態の位置づけ 161
7-3 ブラックA型(事業所)ビジネス 164
8-1 インクルーシブ教育と区域外就学 188
8-2 アメリカ合衆国障害者教育法(IDEA)における「関連サービス」について 189
9-1 難病患者への支援 201
9-2 子・配偶者加算の見直し 211
10-1 発達障害者に対する重罰判決 225
10-2 自動車運転死傷行為等処罰法 240