第6章 司法取引制度における2つの種類
司法取引には「自己負罪型」と「捜査公判協力型」の2つの種類があります。
自己負罪型と捜査公判協力型
司法取引には、自分の罪を認める見返りに刑罰を軽くする、罪そのものから免れる「自己負罪型」。自分ではなく、他人の捜査や公判に協力する見返りに、刑を軽くする「捜査公判協力型」の2種類があります。
今回日本で導入された司法取引は「捜査公判協力型」のみで、司法取引においては、殺人や性犯罪は対象外となります。
なぜ捜査公判協力型のみが採用になったのか?
今後どのような判断がされるかはまだ不明ですが、刑事司法のコスト削減を図る意味合いが大きかった「自己負罪型」は、法制審議会における全会一致が得られず、今後の司法取引制度の運用状況を踏まえて検討されるべきとの判断がありました。
本来的には、刑事司法のコスト削減を目指したものではなく、組織犯罪に関わる上位者の関与を示す証拠を得ることが目的でしたが、「自己負罪型」の導入で、まず自分の犯罪事実を否認した後に、検察官に持ちかけて不起訴処分等を得ようとする「ごね得」を許す結果となることへの懸念も指摘されていたようです。