Xらの就業場所が専修大学北海道短期大学(以下,「北海道短大」)に限定されていたという事実は,Xらがその同意なくして北海道短大以外の場所で就業させられないことを意味するにとどまり,北海道短大が学生募集を停止し閉校される場合において,使用者である被告Y法人が労働者であるXらに対して行うべき雇用確保の程度を軽減させる理由となるものではないと解すべきであり,Y法人は,本件募集停止決定に当たり,できるだけの雇用確保の努力をすべきであったとされた例
札幌地方裁判所判決/平成24年(ワ)第854号
平成25年12月2日
地位確認等請求事件
【判示事項】 1
整理解雇が解雇権を濫用したものとして無効になるか否かを判断するに当たっては,整理解雇が,使用者における業務上の都合を理由とするものであり,落ち度がないのに一方的に解雇され収入を得る手段を奪われるという重大な不利益を労働者に対してもたらすものであることに鑑み,①人員削減の必要性,②解雇回避努力義務の遂行,③被解雇者選定の合理性,④解雇手続きの相当性を総合考慮して判断すべきであるが,①から④のすべてが充足されなければ整理解雇が無効になるとは解されないとされた例
2 学校教育の特殊性に照らして,教員の整理解雇の場合,一般的な私企業における整理解雇の場合よりも,整理解雇の4要件はより高度なものが要求されるとする原告Xらの主張が退けられた例
3 Xらの就業場所が専修大学北海道短期大学(以下,「北海道短大」)に限定されていたという事実は,Xらがその同意なくして北海道短大以外の場所で就業させられないことを意味するにとどまり,北海道短大が学生募集を停止し閉校される場合において,使用者である被告Y法人が労働者であるXらに対して行うべき雇用確保の程度を軽減させる理由となるものではないと解すべきであり,Y法人は,本件募集停止決定に当たり,できるだけの雇用確保の努力をすべきであったとされた例
4 一般の私企業とは異なり,Y法人が自らの意思決定によって,北海道短大以外の学校において,新たな科目を設けたり,教員の配置人数を増加させたり,Xらを特定の科目の教員として採用したりすることは不可能であったというべきであって,Y法人による解雇回避措置の有無・程度について検討を行うに当たっては,このようなY法人特有の事情も考慮に入れなければならないとされた例
5 北海道短大の閉校によりなされた整理解雇に対し,教員であるXらが地位確認等を求めたことにつき,人員削減について相当程度の必要性が認められ,解雇および解雇に伴う不利益の回避措置をY法人が十分に尽くしたといえ,被解雇者の選定方法が合理的なものであり,解雇に至る手続きが相当なものであったといえるから,本件解雇は有効であるとされ,Xらの請求が棄却された例