第11章 実例
日本初の司法取引は不発?
2018年7月22日のニュースにて、タイの発電所建設をめぐる贈賄事件が発覚、東京地検特捜部が大手発電機メーカーの元役員ら3人を、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪で在宅起訴したという報道がありました。
元役員らは建設資材をタイに荷揚げする際、現地の社員らから相談を受け、港湾当局の公務員に約3900万円の賄賂を支払った疑いが持たれている。
MHPSは内部告発をもとに社内調査を進めて不正を把握し、その結果を特捜部に申告した。不正競争防止法では法人も刑事訴追の対象になるため、同社は元役員らの不正行為の捜査に協力する見返りとして、MHPSは起訴を免れる形で司法取引したという。
引用元:腑に落ちぬ初適用の司法取引|日経新聞
本来、企業犯罪などでしっぽの掴めない重役などを摘発する目的でしたが、司法取引の結果、会社は訴追を免れ、個人だけが刑事責任を負うことになりました。
末端の実行犯だけが処罰される「しっぽ切り」を起こさないために導入された制度なだけに、「腑に落ちない」という表現をされていますが、そもそも2018年6月に導入されたばかりの新制度ですので、今後の改善に期待するといったところかと思われます。
日産ケリー被告
元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(67)の役員報酬を過少に記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(65)の弁護人は4日、懲役6月、執行猶予3年とした一部有罪の東京地裁判決を不服として、控訴した。法人として罰金2億円の判決を受けた日産は同日、控訴しないと明らかにした。
ケリー被告は元会長や元秘書室長と共謀し、2010~17年度に虚偽の有価証券報告書を提出したとして起訴されたが、3日の判決は17年度分だけを認定して有罪とし、大半は無罪とした。日産は、起訴内容全てについて有罪とした。
公判では、司法取引をしたとあれる元秘書室長・幹部職員らが証言した。
アパレル会社の元役員らによる業務上横領事件があります。