愛知県小牧市・岩倉市ごみ焼却場事件
建設工事禁止仮処分申請控訴事件
【事件番号】 名古屋高等裁判所判決/昭和59年(ネ)第268号
【判決日付】 昭和61年2月27日
【判示事項】 ごみ処理施設の操業差止めを求める仮処分申請が受忍限度を超える健康被害等の生活利益の侵害がないとして却下された事例
【参照条文】 民法709
民事訴訟法760
【掲載誌】 判例タイムズ591号38頁
判例時報1195号24頁
事案の概要
本件は、小牧市野口地区内に居住するX(申請人、被控訴人)らが、愛知県小牧市と岩倉市が公共団体の事務を共同処理するため、地方自治法284条1項に基づいて設立された組合Y(被申請人、控訴人)が昭和57年2月ころから小牧市大野にごみ処理施設の建設工事を開始したことに対し、右ごみ処理施設の操業が開始されると、有害物質が排出されるほか、騒音、振動、悪臭によって悪影響を受けること、右ごみ処理施設の公害防止対策が極めて不十分であること、環境アセスメントがほとんど実施されていないか実施されているとしても極めて不十分であることなどを主張し、人格権、環境権、財産権などを根拠として、右ごみ処理施設の建設工事禁止と操業の差止めを求めて仮処分を申請した事案である。
民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民事保全法
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。