覚せい剤取締法13条、41条の輸入罪の既遂時期
最高裁判所第1小法廷判決/昭和57年(あ)第1153号
昭和58年9月29日
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
【判示事項】 1、覚せい剤取締法13条、41条の輸入罪の既遂時期
2、覚せい剤取締法13条、41条の輸入罪と関税法111条の無許可輸入罪との罪数関係
【判決要旨】 1、保税地域、税関空港等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に、外国から船舶又は航空機により覚せい剤を持ち込む場合、覚せい剤取締法13条、41条の輸入罪は、覚せい剤を船舶から保税地域に陸揚げし、あるいは税関空港に着陸した航空機から覚せい剤を取りおろすことによつて既遂に達する。
2、保税地域、税関空港等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に、外国から船舶又は航空機により覚せい剤を持ち込み、これを携帯していわゆる通関線を突破し又は突破しようとした場合に成立する覚せい剤取締法13条、41条の輸入罪と関税法111条の無許可輸入罪とは、刑法54条1項前段の観念的競合の関係にある。
(2につき、反対意見がある。)
【参照条文】 刑法45
刑法54-1
覚せい剤取締法13
覚せい剤取締法41
関税法111
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集37巻7号1110頁