第7章 改正による影響
今回の改正により、税関における水際対策の効率が高まることが期待されます。
税関の重要な業務に、輸入品の知的財産権侵害をチェックする認定手続(関税法69条の12)があります。この手続きを行うには、ある商品が輸入されることで知的財産権を侵害されるとする者が税関長に申し立てる必要があります。ところが、これまでは小口の輸入件数の増加に加え、当該輸入が「業として」かどうかの判断もしなければならず、税関の負担は増えるばかりでした。
今回の改正で「輸入」の定義がなされたことで、今後は輸入品の中に模倣品があれば、目的が個人使用の個人輸入であれ、知的財産権侵害品として輸入を差し止めることが可能になりました。この点は、これまで模倣品の流入で被害を受けてきた企業にも良い影響をもたらすでしょう。
商標法・意匠法改正ポイントは模倣品の国内流入防止
これまでは「業として」の輸入行為にしか問えなかった知的財産権侵害行為が、今回の商標法・意匠法改正によって個人輸入にも問えるようになりました。
インターネットによって海外との取引を誰でも行える現代社会では、今後も新たな知的財産権を脅かす手法が出てくる可能性があります。国だけでなく、知的財産権を扱う企業も監視の目を緩めないことが大切です。