最高裁判所第1小法廷判決平成7年11月30日
損害賠償請求事件
忠実屋インコ事件
『商法判例百選』有斐閣 2019年
【判示事項】 スーパーマーケットに出店しているテナントと買物客との取引に関して商法23条の類推適用によりスーパーマーケットの経営会社が名板貸人と同様の責任を負うとされた事例
【判決要旨】 甲の経営するスーパーマーケットの店舗の外部には、甲の商標を表示した大きな看板が掲げられ、テナントである乙の店名は表示されておらず、乙の出店している屋上への階段の登り口に設置された屋上案内板や右階段の踊り場の壁には「ペットショップ」とだけ表示され、その営業主体が甲又は乙のいずれであるかが明らかにされていないなど判示の事実関係の下においては、乙の売場では、甲の売場と異なった販売方法が採られ、従業員の制服、レシート、包装紙等も甲とは異なったものが使用され、乙のテナント名を書いた看板がつり下げられており、右店舗内の数箇所に設けられた館内表示板にはテナント名も記載されていたなど判示の事情が存するとしても、一般の買物客が乙の経営するペットショップの営業主体は甲であると誤認するのもやむを得ないような外観が存在したというべきであって、右外観を作出し又はその作出に関与した甲は、商法23条の類推適用により、買物客と乙との取引に関して名板貸人と同様の責任を負う。
【参照条文】 商法23
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集49巻9号2972頁
判例タイムズ901号121頁
金融・商事判例989号21頁
判例時報1557号136頁