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2024年01月28日
平成30年民法(相続法)改正その8 第9 遺留分制度の見直し

第9 遺留分制度の見直し

1,改正前

遺留分請求

遺留分とは

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に最低限保証された遺産に対する権利です。

 

改正前は、遺留分減殺請求権は、行使すると当然に効力が生じました。つまり、遺留分減殺請求権を行使された受遺者または受贈者(以下、「受遺者等」といいます)は、遺留分権利者に対して、遺留分侵害価額弁償ができない場合には、 対象財産について、現物の返還をもとめ、その結果、遺留分割合にもとづく共有関係の発生の問題が生じました。

 

共有となると、財産の管理が複雑になります。

なぜなら、遺言等によって財産を相続した子と遺留分を請求した子の共有となるため、売却、賃貸、リフォームなど、共有者全員の同意等が必要な場面が多々出てくるためです。

 

 

「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ

相続人が自身の遺留分を侵害されたときに、遺留分の権利行使することを「遺留分減殺請求」といい、従来の相続法では、この権利行使は目的物の返還請求とされていたため、権利行使されると遺留分権利者と受遺者で目的物が共有状態となり、様々な問題が生じていました。

 

例えば、事業承継のために会社で必要な不動産と株式を後継者に相続させるような場合に、そうした不動産や株式が他の相続人と共有状態となれば、事業承継を円滑に行うことができません。

 

2,改正法

遺留分請求の取り扱いが変わる(改正法第1042~1049条)

遺留分制度について、改正相続法では主に以下2点のポイントが改正されました。

⑴ 遺留分を侵害された者は,遺贈や贈与を受けた者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。

⑵ 遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には,裁判所に対し,支払期限の猶予を求めることができます。

 

3,遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となる。

 

改正相続法では、遺留分権利者が行使できるのは、受遺者(受贈者)へ対する金銭の支払請求としたため、目的物が共有になるというような問題は生じなくなりました。

 

請求権の内容に合わせて呼称も「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ変更されました。

 

4,遺留分の算定方法が明確に

生前贈与には期限がある

改正前は、相続人に対する生前贈与の期間は無制限に参入されましたが、改正後は相続開始前10年以内に限定されます。

 

改正前は10年以上前に贈与した財産も対象財産となってしまいましたが、改正により10年以内と制限され、10年超の生前贈与は対象になりません。

 

遺留分について相続トラブルや裁判になる場合、過去に行われた贈与(特別受益)を遺留分の算定にどこまで含めるかが争点になることが多かったため、10年で区切ることで請求できる(される)額が予測でき、かつ明確になったことで早期解決の一因になると考えられています。

 

5,施行日

上記の規定は、原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。

 

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