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2024年01月30日
平成30年民法(相続法)改正その10 第11 相続債権者の立場を明確に

第11 相続債権者の立場を明確に
従来から、判例の見解により、債権者は遺言や遺産分割協議で決められた相続の割合に縛られないとされていましたが、改正相続法では、そのような見解を明文化するべく、「相続分の指定がされた場合の債権者の立場について」以下のような規定が設けられました。
1)債権者は指定された相続分に縛られることなく、各相続人に法定相続分に応じて請求できる
2)ただし、その債権者が指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りではない。

第12 特別寄与料の請求(改正法1050条)
1,改正前
従来の相続法でも「寄与分制度」はありましたが、寄与分が主張できるのは、相続人に限られているため、亡くなった人の療養看護等をした人が相続人でなければ、報われないケースがありました。

例えば、長男の妻が、長男の父親(義父)を介護しているようなケースです。

このような場合、長男の妻は相続人ではないため、義父が亡くなって相続が発生しても、療養看護等の貢献を相続分に反映させる仕組みがなく、相続分配が不公平な結果となることもありました。
・被相続人が死亡した場合,相続人(長女・次男)は,被相続人の介護を全く行っていなかったとしても,相続財産を取得することができる。
・他方,長男の妻は,どんなに被相続人の介護に尽くしても,相続人ではないため,被相続人の死亡に際し,相続財産の分配にあずかれない。

2,相続人以外の者の貢献を反映
改正相続法では、被相続人の相続人以外の親族が、無償で療養看護等をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加があった場合、相続人に対して「特別寄与料」として金銭の支払いを請求できるようになりました。

配偶者の妻など、相続人以外が介護を行っていた場合でも、その貢献に応じた寄与分を請求することができる(特別の寄与・改正法第1050条)

特別寄与料の請求
被相続人の親族(特別寄与者:相続人以外)が、無償で療養看護(介護)等を行っていた場合には、特別寄与料を相続人に対して支払請求がすることができるようになる規定が新設されました。

改正前は、相続人でない、相続人の配偶者はいくら貢献していても財産を相続できなかったのですが、改正後は特別寄与料として相続人に対して寄与料を請求することができます。

遺産分割の手続が過度に複雑にならないように,遺産分割は,現行法と同様,相続人だけで行うこととしつつ,相続人に対する金銭請求を認めることとしたもの。

3,施行日
この特別寄与の規定は原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。
つまり、療養看護等は2019年7月1日法改正以前に行われた場合でも、法改正後に相続が開始された場合には、特別寄与料の請求を行うことができます。

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