第13 改正相続法の施行日
1,改正法適用の判断基準の大原則「相続開始時点でみる」
相続法施行時期
相続法改正については、原則的な法律の施行日を2019(令和元)年7月1日と指定しています。
そのため、まず大原則としての考え方は、相続法改正(2019年7月1日)以前に開始した相続は、旧法が適用され、改正前(6月30日まで)は旧法で対応します。
附則第2条
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。”
そのため、発生した相続が2019(令和元)年7月1日以前か、それとも以後に相続なのかというように、まずは、判断することが必要です。しかし、その例外として、施行日以前の相続や遺言についても改正法が適用すべき規定があります。
自筆証書遺言の「方式の緩和」と「保管制度の創設」の施行日にタイムラグがあることから、2019年1月13日以降に緩和された方式で自筆証書遺言を作成しても、自筆証書遺言の保管制度を利用できるのは、2020年7月10日以降になるため注意が必要です。
2,改正相続法の施行時期を見極めるポイント
改正法の適用については、法律にその例外規定があり、その例外規定がどの部分に適用されるのかを理解する必要があり、その理解のポイントがあります。
(1)取引の円滑化が求められる規定
取引に関する手続については、取引の円滑化を重視し、2019年7月1日以降に行われる場合には、改正前の相続においても、改正後の法律が適用されます。
(2)本人(被相続人)の意思を重視する規定
2019年7月1日法改正後の相続であったとしても、遺言、贈与など本人の意思を重視するものについては、法改正後に当該遺言等を作成しなければ、改正法の適用されません。
3,まとめ
改正法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる。
本人(被相続人)の意思を重視する規定は、遺言、贈与などの作成時期は法改正後であることが求められている
取引の円滑を重視する規定は、法改正以前の相続についても改正法を適用する
改正法か、旧法、どちらの適用があるのかということをちゃんとみておかないと、思いもよらず、法律の適用がないという事態が発生しかねません。