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2024年02月08日
民法(物権法・相続法)・不動産登記法・相続土地国庫帰属法の令和3年改正その4 第6章 新たな土地・建物管理制度の創設

第6章 新たな土地・建物管理制度の創設

土地所有者の所在等についてまったく手がかりが得られない場合や、所在が判明している土地共有者が主体となって手続を進めることが難しい場合も現実には存在する。そこで、改正法は、利害関係人注8の請求により、裁判所が所有者不明土地の管理人を選任し、土地の管理を命ずる処分を行える制度(所有者不明土地管理制度)(改正民法264条の2以下。ほぼ同様の制度が所有者不明建物についても設けられた。改正民法264条の8)を創設した。

これにより、選任された管理人の権限において、所有者不明土地の保存行為や、土地等の性質を変えない範囲内での利用・改良目的行為が行えるほか、裁判所の許可を得れば当該土地の売却等を行うことも可能となる(改正民法264条の3)。

これまでも民法上、不在者財産管理制度や相続財産管理制度といった制度は存在したが、いずれも「人」単位での財産管理を目的としたものであり、不在者や被相続人等の財産の一つに過ぎない特定の土地だけを対象に管理人を選任することは原則としてできなかった。

しかし、今回の法改正により、土地、建物といった個々の財産単位で裁判所が管理人の選任することが可能となったことで、不相当な労力やコストをかけることなく的確な管理がなされ、利用の円滑化につながることが期待される。

また、改正法は土地、建物の所有者が不明であるかどうかにかかわらず、「所有者による土地・建物の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害されるおそれがある場合」に、利害関係人の請求により、裁判所が当該土地・建物の管理人を選任し、管理を命ずる処分を行える制度(管理不全土地・建物管理制度)(土地につき改正民法264条の9以下、建物につき改正民法264条の14)も創設した。

所有者不明土地管理制度とは異なり、管理人に土地の管理・処分権が専属せず(改正民法264条の3第1項に相当する規定が改正民法264条の10には存在しない)、所有者の同意がなければ土地の処分行為もできない(改正民法264条の10第3項)ことから、管理に抵抗する所有者が現にいる場合は使いづらい面もあるが、冒頭の事例2のように、管理不全土地であって、かつ、所有者不明となっていることが疑われるような土地の場合は、この管理制度を活用することでより迅速な対応ができるようになる可能性もある。

 

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