第3章 改正法のポイント
同改正については下記一覧表のとおり、大きく5つに分類することができます。
本稿では、より実務への影響が大きいと予想される、通信販売における詐欺的商法への対策(下記2)、事業者が交付すべき書面のデジタル化(下記3)、クーリング・オフ通知のデジタル化について詳述します。
改正項目 |
ポイント |
施行日 |
通信販売における詐欺的商法への対策
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定期購入でないと誤認させる表示(定期性誤認表示)等の直罰化 定期性誤認表示によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設 通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止 定期性誤認表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
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令和4年6月1日 |
送り付け商法への対策
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売買契約に基づかないで一方的に送り付けた商品について、送付した事業者が返還請求できない規定の整備等 施行日以降に送り付けられた商品の即座の処分を可能に
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令和3年7月6日 |
事業者が交付すべき書面のデジタル化
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事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことが可能に
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令和5年6月15日までの範囲で、政令で定める日 ※
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クーリング・オフ通知のデジタル化
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消費者からのクーリング・オフの通知について電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことが可能に
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令和4年6月1日 |
外国執行当局の情報提供制度や行政処分の強化 |
外国執行当局に対する情報提供制度の創設 行政処分の強化等(違反者に対する措置の一部強化)
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令和4年6月1日 |
詐欺的商法への対策は、定期購入でないと消費者に誤認させて不正な利益を得ようとする悪質な事業者の排除を目的としていますが、広告や申込画面に表示するべき内容に変更があるので、通信販売に携わる事業者、特に役務提供事業者は対策が必要です。
また、事業者が交付すべき書面のデジタル化は、事業者の今後のビジネススキームにかかわることが予想されるため、改正案が政令等でどのように具体化されていくかを注視する必要があります。
さらに、クーリング・オフ通知がデジタル化したことで、事業者は窓口や受付体制を整えるなどこれに対応する必要があります。