委任事務終了前における委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権の被転付適格
最高裁判所第2小法廷決定/平成17年(許)第33号
平成18年4月14日
転付命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
【判示事項】 委任事務終了前における委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権の被転付適格
【判決要旨】 委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,転付命令の券面額を有するものとはいえず,被転付適格を有しない。
【参照条文】 民事執行法159
民法649
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集60巻4号1535頁
民法
(受任者による費用の前払請求)
第六百四十九条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
民事執行法
(転付命令)
第百五十九条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6 差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
7 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。