第7章 広告に表示すべき事項(特商法11条)に関する改正
申込画面に表示すべき内容の変化と実務で求められること
旧法では、商品の売買契約および役務提供契約の申込み画面の具体的な表示内容を規定する法律の定めはなく、いずれも法14条1項2号・施行規則16条1項に基づく「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」で規定されています。このガイドラインの中で、商品についての定期購入契約の場合、消費者による申込みの際に、契約期間(商品の引渡しの回数)、金額(各回ごとの代金、送料および支払総額)、その他特別の販売条件が定められるべき旨が規定されていました。
改正法では、法律レベルで、販売価格等、支払時期、権利移転時期、申込みの期間についての定め、売買契約および役務提供契約の申込みの撤回または解除、商品等の分量を表示すべき旨が定められました(改正12条の6)。
これによって、申込画面に表示する内容について、旧法のもとではガイドラインあるいは事業者の判断に委ねられていた部分が、改正法では明確に法定されました。さらに、定期購入契約の場合の表示義務が、商品だけでなく権利や役務も対象になることや、申込みの撤回または解除についての表示義務も、売買契約だけでなく役務提供契約も対象になることとなりました。
現状、こうした内容を申込画面に表示していない事業者は、改正法施行までの間に注意して対応する必要があります。
章 申込画面に表示すべき内容と違反への対応
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現行(ガイドライン) |
改正法(改正12条の6にて法定) |
定期購入契約以外の契約
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注文内容 (たとえば、注文する商品名、注文数量、金額など)
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販売価格等 支払時期 権利移転時期 申込みの期間についての定め (ある場合) 売買契約および役務提供契約の申込みの撤回または解除 商品等の分量
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定期購入契約 |
(商品の定期購入のみが対象) 注文する商品名 注文数量 契約期間(商品の引渡しの回数) 金額(各回ごとの商品の代金、送料および支払総額等) その他特別の販売条件
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(商品や権利の定期購入、役務提供の定期購入が対象) 販売価格等 支払時期 権利移転時期 申込みの期間についての定め (ある場合) 売買契約および役務提供契約の申込みの撤回または解除 商品等の分量
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(違反への対応)
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主務大臣による指示
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主務大臣による指示や業務の停止 表示を信じた消費者は申込みを取り消すことが可能(改正15条の4)
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なお、改正12条の6の解釈および具体例が、「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」にて示されました。また、改正特商法の施行後は、施行規則16条1項1号から3号が削除されるとともに、「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」は事実上廃止され、「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」に特商法1条1項2号および施行規則16条1項の考え方も記載されることとなりました。
詳しくは、「「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を踏まえた実務対応のポイント」をご覧ください。