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2024年03月21日
令和3年特定商取引法・預託法の改正その11終 第11章 消費者の心理等に働きかけるような事業者の行動(ダークパターン)

第11章 消費者の心理等に働きかけるような事業者の行動(ダークパターン)

 

① 判断力低下つけ込み型 消費者が加齢または心身の故障により判断力が著しく低下している場合に事業者がこれを知りながら契約の締結を迫る場合(消費者契約法4条3項5号等)

② 困惑型            強迫類似の方法や霊感商法など、消費者が合理的な判断をすることができない事情を知りながらこれに乗じて契約の締結を迫る場合(消費者契約法4条3項6号等)

③ 浅慮型            交友関係に乗じるなどして、その場での契約締結の締結を迫る場合

④ 幻惑型            消費者が過大な期待を抱いていることを知りながらその期待を煽って契約の締結を迫る場合

 しかし、同取消権の要件をどのように規定するかをめぐって検討は難航しており、いまだ着地点は見いだされずにいます。たとえば、令和3年2月12日に開かれた消費者庁の「消費者契約に関する検討会」では、その場での契約締結を迫る「浅慮型」の規定について、以下のいずれかの場合に該当する場合に契約が取り消せる旨の案が議論の俎上に載りました 。

 

広告と勧誘内容が不一致の場合

勧誘者と交友関係がある場合

勧誘者が専門家である場合

長時間にわたる勧誘の場合

 これに対して、「専門家」とは何を意味するか(有資格者に限るのか)、「長時間」とはどの程度のものを指すのか、「浅慮」に陥ったことを要件に加えるべきかなどの意見が出ており、しばらくは議論が続くことが見込まれます。

 

 

 また、消費者が過大な期待をしていることを知りながらその期待を煽る「幻惑型」に着目した取消権についても、議論がまとまらず、今回の検討会では法改正が見送られました。「幻惑型」については、しばらくは消費者契約法4条3項3号の規定の解釈で対応するものとされ、将来の課題として保留されています。

 

 

 今後の立法の課題として、こうしたダークパターンへの対応として、特商法と消費者契約法の両面から法改正が必要ではないかとの指摘がされており、引き続き議論が行われることが予想されますので、いっそうの注視が求められます。

 

 

2022年4月27日:「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(令和4年2月9日付通達別添7)の公表

通信販売の際、消費者が契約を申し込んだり、契約をしたりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日間以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回または解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。 

もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回または解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります。 ↩︎

 

日本消費経済新聞2319号3頁(令和3年1月15日) ↩︎

 

第204回国会 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第12号 令和3年5月28日 ↩︎

 

令和3年7月30日に「第1回特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」が開かれました。 ↩︎

 

なお、デジタル・プラットフォームに関する論点については、「取引デジタル・プラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」(施行日:令和4年5月1日)に、既に一部盛り込まれています(消費者庁「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(条文)」)。 ↩︎

 

 

 

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