信用金庫の支店長が自己の利益をはかるために先日付の預手を振り出した場合における金庫の責任
小切手金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/昭和53年(オ)第166号
【判決日付】 昭和54年5月1日
【判示事項】 信用金庫の支店長が自己の利益をはかるために先日付の預手を振り出した場合における金庫の責任
【判決要旨】 信用金庫の支店長甲が、なんぴとからも資金の受入れがないにもかかわらず、しかも先日付で自己宛小切手を振り出し、最初にその交付を受けた乙において甲がもつぱら自己の利益を図る目的で右小切手を振り出したものであることを知つていても、さらに乙から小切手の交付を受けた丙に対する関係では、小切手法22条但書により、信用金庫は、丙が乙の右知情につき悪意の取得者であることを主張・立証した場合に、はじめて小切手上の責任を免れることとなる筋合いである。
商法38-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事127号1頁
金融・商事判例576号19頁
判例時報931号112頁
金融法務事情901号34頁
信用金庫法
(支配人)
第四十条 金庫は、理事会の決議により、支配人を置くことができる。
2 支配人については、会社法第十一条第一項及び第三項(支配人の代理権)、第十二条(支配人の競業の禁止)並びに第十三条(表見支配人)の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
商法
(支配人)
第二十条 商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。
(支配人の代理権)
第二十一条 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
小切手法
第二十二条 小切手ニ依リ請求ヲ受ケタル者ハ振出人其ノ他所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ其ノ債務者ヲ害スルコトヲ知リテ小切手ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ