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2024年04月03日
日興サービス事件・労働者派遣法40条の6第1項5号による労働契約申し込みみなしの適用と労働者の承諾

日興サービス事件・労働者派遣法40条の6第1項5号による労働契約申し込みみなしの適用と労働者の承諾

 

 

              地位確認請求控訴事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/令和2年(ネ)第551号

【判決日付】      令和3年10月12日

【判示事項】      1 労働者派遣法40条の6第1項5号のいわゆる適用潜脱目的をめぐり,同号に該当する行為を行ったこと(労働者派遣以外の名目で契約を締結していることおよび当該契約に基づき労働者派遣の役務の提供を受けていること)という客観的事実の認識(悪意)から直ちにその存在が推認されるものではないが,他方で,その存在を直接的に示す証拠(行為主体の指示や発言)がなければ認められないものでもなく,その存在を推認させる事情が存在する場合はもとより,上記客観的事実の認識があり,かつ,それにもかかわらず適用潜脱目的ではないことをうかがわせる事情が一切存在しないような場合にも,その存在を推認することができるとされた例

             2 みなし申込みに対する承諾の意思表示は,それが派遣先との間の新たな労働契約の締結を内容とするものであり,かつ,その内容やそれがされた際の状況等からみて,それがみなし申込みに対する承諾の意思表示と実質的に評価し得るものであれば足りると解するのが相当であるとされた例

             3 みなし申込みに対する承諾の意思表示といい得るためには,少なくとも,使用者が変わることに伴って必然的に変更となる労働条件等があったとしても,なお派遣元との従前の労働契約の維持ではなく派遣先との新たな労働契約の成立を希望する(選択する)意思を派遣労働者が表示したと評価し得るものでなければならず,そうでなければ派遣労働者の希望を的確に反映することにはならないとされた例

             4 現行の申込みみなし制度においては,派遣労働者がみなし申込みの発生または承諾期間の進行開始を認識し得る措置は何ら講じられておらず,労働者派遣法40条の6第2項は,承諾期間について,派遣労働者が「〇〇を知った時」から進行するものとはせず,派遣労働者の認識の有無にかかわらず「同項に規定する行為が終了した日」から進行するとして,みなし申込みの効力喪失を主張することが信義則に反するとまではいえないとした一審判断が維持された例

【掲載誌】        労働判例1258号46頁

 

 

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