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新着情報
2024年04月06日
会社法の令和元年改正その5 第5章 会社法の一部を改正する法律の概要

第5章 会社法の一部を改正する法律の概要

法務省民事局

H29.2 法務大臣から法制審議会へ諮問

H29.4~ 法制審部会での調査審議開始

H30.2 中間試案の取りまとめ

H30.2~4 パブリックコメント

H31.1.16 要綱案の取りまとめ

H31.2.14 要綱の取りまとめ・答申

株主総会資料の電子提供制度の創設【第325条の2~第325条の5】

旧法上は,インターネット等を用いて株主総会資料を株主に提供するためには,株主の個別の承諾が必要。

  • 株主総会資料をウェブサイトに掲載し,株主に対してそのアドレス等を書面で通知する方法により,株主総会資料を株主に提供することができる制度を新たに設ける。
  • 書面での資料提供を希望する株主は,書面の交付を請求することができる。

株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

近年,一人の株主が膨大な数の議案を提案するなど,株主提案権の濫用的な行使事例が発生し,権利の濫用と認められた裁判例もある。

  • 株主が提案することができる議案の数を10までとする上限を新たに設ける。【第305条第4項,第5項】

書面交付請求

招集の通知及び株主総会資料

株主総会の日の2週間前までに,ウェブサイトのアドレス等を記載した招集の通知を発出

株主総会の日の2週間前までに,株主総会の招集通知とともに,株主総会資料を書面で提供

株主

株式会社

株主総会の日の3週間前までに情報を掲載

株主総会資料 (電子提供措置)

(株主総会参考書類,事業報告等)の内容等

平成26年改正会社法附則第25条(平成27年5月施行)

「政府は,この法律の施行後二年を経過した場合において,社外取締役の選任状況その他の社会経済情勢の変化等を勘案し,企業統治に係る制度の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて,社外取締役を置くことの義務付け等所要の措置を講ずるものとする。」

検討の経過

第2 取締役等に関する規律の見直し

取締役の報酬に関する規律の見直し

取締役の個人別の報酬の内容は,取締役会又は代表取締役が決定していることが多い。報酬は,取締役に適切な職務執行のインセンティブを付与する手段となり得るものであり,これを適切に機能させ,その手続を透明化する必要がある。

  • 上場会社等において,取締役の個人別の報酬の内容が株主総会で決定されない場合には,取締役会は,その決定方針を定め,その概要等を開示しなければならないものとする。【第361条第7項】
  • 取締役の報酬として株式等を付与する場合の株主総会の決議事項に,株式等の数の上限等を加える。【第361条第1項】
  • 上場会社が取締役の報酬として株式を発行する場合には,出資の履行を要しないものとする。

【第202条の2,第236条第3項,第4項,第361条第1項,第409条第3項】

  • 事業報告による情報開示を充実させる。

会社補償に関する規律の整備【第430条の2】

役員等の責任を追及する訴えが提起された場合等に,株式会社が費用や賠償金を補償すること(会社補償)については,利益相反性があるが,旧法上は,会社補償について直接に定めた規律はない。

  • 株式会社が会社補償をするために必要な手続規定や会社補償をすることができる費用等の範囲に関する規定を新たに設ける。

役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備【第430条の3】

株式会社が役員等を被保険者とする会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入することについては,利益相反性があり得るが,旧法上は,D&O保険への加入について直接に定めた規律はない。

  • 株式会社が役員等を被保険者とする会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入するために必要な手続規定等を新たに設ける。

業務執行の社外取締役への委託【第348条の2】

旧法上,業務を執行した場合には社外性を失うとされていることにより,社外取締役が期待されている行為をすることが妨げられることがないようにする必要性が指摘されている。

  • 株式会社と取締役との利益相反状況がある場合等において取締役会が社外取締役に委託した業務については,社外取締役がこれを執行したとしても,社外性を失わないものとする。

社外取締役を置くことの義務付け【第327条の2】

旧法上,上場会社等が社外取締役を置かない場合は,株主総会で理由を説明しなければならない。東証上場会社の98.4%(市場第一部においては99.9%)は社外取締役を置いている。

  • 上場会社等は,社外取締役を置かなければならないものとする。

客観的な立場から監督

役員等賠償責任保険

第3 社債の管理等に関する規律の見直し

社債の管理に関する規律の見直し【第714条の2~第714条の4,第737条第1項】

社債の管理については,旧法上,社債管理者の制度があるが,権限が広く,責任が重いことを原因として,なり手の確保が難しく,利用コストも高くなると指摘されている。

  • 社債権者において自ら社債を管理することができる場合(注)を対象として,社債管理補助者に社債の管理の補助を委託することができる制度を新たに設ける。

(注)各社債の金額が1億円以上である場合等

株式交付制度の創設【第2条,第774条の2~第774条の11,第816条の2~第816条の10】

旧法上,自社の株式を対価として他の会社を子会社とする手段として株式交換の制度があるが,完全子会社とする場合でなければ利用することができない。他方,自社の新株発行等と他の会社の株式の現物出資という構成をとる場合には,手続が複雑でコストが掛かるという指摘がされている。

  • 完全子会社とすることを予定していない場合であっても,株式会社が他の株式会社を子会社とするため,自社の株式を他の株式会社の株主に交付することができる制度を新たに設ける。

(注1)株式に加えて,株式以外の金銭等を交付することもできる。

(注2)株式と併せて新株予約権等を譲り受けることもできる。

株式交付親会社においては,

株式交換等と同様に,株主総会の決議,債権者異議手続等をとる。

株式交付子会社の株主は,任意の判断で譲渡人となる。

その他

  • 社債権者集会の決議による元利金の減免に関する規定の明確化【第706条第1項】
  • 議決権行使書面の閲覧謄写請求の拒絶事由の明文化【第311条第4項,第5項】
  • 会社の支店の所在地における登記の廃止【第930条~第932条(新旧P80~82)】
  • 成年被後見人等についての取締役の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備【第331条第1項,第331条の2】
  • 公布の日から1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行【附則第1条本文】
  • ただし,第1のうち株主総会資料の電子提供制度の創設及び第3のうち会社の支店の所在地における登記の廃止については,公布の日から3年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行【附則第1条ただし書】

 

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