第7章 社外取締役設置の義務化
1,改正
次に、社外取締役設置の義務化(②)について解説します。
旧法では、会社法上「上場会社等」に該当する会社(事業年度末日時点で監査役会設置会社、公開会社かつ大会社であり、有価証券報告書提出義務を負う会社)が社外取締役を置かない場合には、定時総会で社外取締役を置くことが相当でない理由の説明を求められており、社外取締役の選任を直接義務づける形でなく、間接的に選任を促す規律となっています。
他方で、証券取引所の規程などでは、独立役員の確保が義務づけられるなどコーポーレートガバナンスの取組が進んでおり、上場会社においては殆どの会社が社外取締役を選任している状況となっています。
改正法327条の2は、社外取締役の設置義務について規定しています。 監査役会設置会社(公開会社かつ大会社であるものに限ります)であって、 金商法24条1項により有価証券報告書を提出している会社(いわゆる上場会社)は、 社外取締役を置かなければならない、とされました(改正法327条の2)。
社外取締役の設置義務化により、上場会社については社外取締役による監督体制が敷かれているという意味で、 資本市場の信頼性向上につながることが期待されています。
非上場会社が「上場会社等」に該当するケースは稀ですので、この改正は事実上、上場会社にかかわる改正となります。
もっとも、上場会社についてはほとんどの会社がすでに社外取締役を設置しており、実務への影響は限定的と考えられます。