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2024年04月19日
会社法の令和元年改正4-2 第2章 債権者集会における債務免除に関する規律の変更

第2章 債権者集会における債務免除に関する規律の変更

1,改正

次に、社債権者集会における債務免除(②)に関する改正について解説します。

 

今回の改正において、社債権者集会の決議により、社債に係る債務の全部又は一部の免除をすることができることが明確化されました。

改正法706条1項1号は、社債管理者が社債権者集会の決議により「債務…の免除」について行うことができる旨定めました。

社債管理者は、社債権者集会の決議により債務免除を行うこともできます。

 

また、社債権者集会における決議の省略についても変更が加えられました。

改正法735条の2は、社債発行会社、社債管理者、社債管理補助者、社債権者から社債権者集会の目的事項について提案が行われた場合において、 その提案について議決権者の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示を行った場合には、その提案を可決する旨の 社債権者集会決議があったものとみなす、としています。

これにより、社債権者集会の決議省略が可能になります。

 

2,社債権者集会の決議の省略

社債全部に関する支払猶予や訴訟行為など、会社法上の一定の事項については社債権者集会という会議体の決議が必要とされており、その他社債権者の利害に関する事項について決議することができるものとされています(会社法第716条、第706条等)。また、社債権者集会の決議は、裁判所の認可を受けなければ効力を生じないものとされます(同第734条)。

 

こうした社債権者集会の決議事項について、社債権者全員の個別の同意があれば、社債権者集会の決議に代えることができないかという議論があり、例えばベンチャー企業が発行するCB(転換型新株予約権付社債)の条件変更をするような場合に、法的に社債権者集会の決議事項であるかどうか、そうであるとして数名の社債権者の同意を得る方が簡易であるからそれによって社債権者集会や裁判所の認可というプロセスを省略できないか、といったことが問題になることもありました。

 

今回の改正で、株主総会と同様に、社債権者全員の書面による同意があれば、社債権者集会の決議があったものとみなされることとなりました(改正法第735条の2第1項)。またこの同意が得られた場合は、裁判所への決議認可の申し立て(732条)や裁判所の認可(734条)は不要となります(同条第4項)。上述のCBの条件変更に関しては、登記実務において同意書面で代用可能と運用されるようになっていますが、会社法の明文上もその適法性がクリアになりました。

 

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