第5章 保護対象の拡充(令和2年4月1日施行)
「画像」「建築物」「内装」も意匠登録できるようになり、 保護される対象が広がる
ポイントは、次の2つです。
①「意匠」の定義に、「画像」「建築物」を含める
②全体として統一的な美感を起こさせる「内装」が一つの意匠として登録できる
これまでは、意匠法の保護対象は「物品」に限られ、不動産や固体以外のものなど、「物品」でないものは保護されませんでしたが、改正により保護対象を拡充し、新たに「画像」、「建築物」、「内装」のデザインについても、登録ができるようになりました。
物品に記録・表示されていない画像デザインも保護できるよう、「画像」そのものも保護対象に。また、不動産である建築物のデザインも保護できるよう、「建築物」も保護対象に。
複数の物品、壁、床、天井等から構成される「内装」のデザインについても、一意匠として登録可能に。
意匠の定義に「画像」を含める
改正前は、「物品に記録・表示される画像」のみ「意匠」にあたるものとして保護されていました。 しかしながら、近年、投影技術の発達・インターネットサービスの多様化・スマートフォンの普及により、 「物品に記録・表示される画像」にあたらない画像についても、優れたデザインを有するものが増えてきました。
そこで、 「物品に記録・表示される画像」にあたらない画像についても、意匠権で保護されるように意匠の定義が見直される ことになりました。
「物品に記録・表示される画像」とは?
「物品に記録・表示される画像」にあたるもの
・スマートフォンやDVDプレイヤーの操作画像
「物品に記録・表示される画像」にあたらないもの
・道路に投影される画像
・サーバーやクラウド上から機器に送信される画像
改正により、物品に記録・表示されているか否かにかかわらず、 「表示画像」と「操作画像」 も保護の対象となります
改正意匠法で保護される画像とは?
「表示画像」…例)道路に投影される画像
「操作画像」…例)サーバーやクラウド上から機器に送信される画像
「意匠」の定義に「建築物」を含める
改正前は、モノ(動産)のデザインのみ「意匠」として保護され、 建築物(不動産)のデザインは、保護の対象ではありませんでした。 しかしながら、昨今、モノ(動産)のデザインのみならず、空間のデザインに工夫が施されるようになってきました。 そのため、これらが容易に模倣されることないように保護することが求められるようになりました。
そこで、新法では、建築物(不動産)のデザインも保護されます。
全体として統一的な美感を起こさせる「内装」が一つの意匠として登録できる
昨今、家具・設備などの配置や、壁・床の装飾など空間のデザインに工夫が施されるようになってきました。
すなわち、建築物の「内装」についても、工夫が凝らされたデザインが多く制作されるようになりました。 「内装」とは、家具・設備・壁と床の装飾などの複数のモノによって構成されているものです。
しかしながら、意匠法は、 一つのモノに対して一つの意匠のみ登録できるという原則(一意匠一出願の原則) です。そのため、改正前は、 「内装」を構成するモノ(家具・設備など) に対して、意匠登録するほかありませんでした。
最近、カウンター・テーブル・ライト・壁飾りなど、統一感があってとても素敵な内装のお店がありますね。そのようなお店の内装は、一つの意匠として登録できなかったのですね。
内装というのは、そのような複数のモノで構成されているので、 一つの意匠として登録すると、一意匠一出願の原則に反してしまうのです。
そこで、改正意匠法では、「内装」については、一つのモノに対して一つの意匠のみ登録できるというルール(一意匠一出願の原則)の例外を認め、 全体として統一的な美感を起こさせる内装であれば、一つの意匠として登録できる ことになりました。