第6章 関連意匠制度の拡充(令和2年4月1日施行)
「関連意匠」とは、 一つのデザインコンセプトに基づいて、最初に登録された意匠(本意匠)から、様々なバリエーションのデザインを生み出したときに発生する意匠 をいいます。
関連意匠制度について、次の2点が見直されました。
①関連意匠の登録出願期間が延長される
②関連意匠のみ類似する意匠も登録できる
これまでは、関連意匠の出願可能期間が本意匠の意匠公報発行前まで(本意匠の出願から8か月程度)でしたが、改正により、基礎意匠の出願から10年を経過する日前までとなりました。
また、これまでは、関連意匠にのみ類似する意匠は登録できませんでしたが、改正により、「関連意匠を本意匠とする関連意匠」の出願・登録を認めることとなりました。
関連意匠の出願可能時期が、「本意匠の出願日から10年経過する日前まで」に。
(関連意匠の意匠権の満了日は、「本意匠の出願日から25年経過した日」)
※意匠が実際に登録されるためには、意匠法に規定された登録要件(新規性、創作非容易性)を満たす必要があります。
関連意匠の登録出願期間が延長される
関連意匠の出願可能期間について、改正前の意匠法では、 「本意匠の意匠公報発行日まで(約8カ月)」でした。 そのため、企業は、本意匠の出願と同時期に、関連意匠の出願を行っていました。
しかし、昨今、企業のデザイン戦略として、本意匠を出願してから、市場の動向などを様子見しながら、 関連するデザインを制作する例が増えています。 そのため、従来の出願可能期間内に、関連意匠の出願を行うことは難しい状況にありました。
そこで、改正では関連意匠の出願可能期間が延長され、 「本意匠の出願から10年が経過する日まで」 となりました。
関連意匠の登録出願期間が延長される
関連意匠のみ類似する意匠も登録できる
旧意匠法では、関連意匠にのみ類似する意匠は登録できませんでした。 最初に登録した意匠(本意匠)に類似するものでなければ、登録することができなかったのです。 しかしながら、昨今、企業のデザイン戦略として、一貫したデザインコンセプトによって、 ブランド価値を高める動きが増えてきました。 そのため、本意匠には類似しないものの関連意匠に類似する意匠が多く登場することになります。
ところが、意匠法は、新規性と創作非容易性がなければ、意匠として登録することができません(意匠法3条1号・2号)。 この場合、 関連意匠に類似する意匠は、新規性・創作非容易性を欠くものとして、意匠登録することができなかった のです。
そこで、改正意匠法では、 これを廃止し、関連意匠に類似する意匠についても登録できることになりました。