第3章 所有者不明土地に関する現状と課題
1.所有者不明土地の現状
平成28年度地籍調査における所有者不明土地
○ 人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地が全国的に増加
○ 公共事業の推進等の様々な場面において、所有者の特定
等のため多大なコストを要し、円滑な事業実施への支障となっている ※ 1調査地区には、様々な地帯(DID、宅地、農地、林地)が含まれるため、
地区内で最も割合の多い地帯で区分所有者不明等の問題により事務負担が増加している主な理由
※自由回答を分析したものであり、市町村の数ではない。
<国土交通省調査(H29.6~8)>
【目標・効果】 ○ 所有者不明土地の収用手続に要する期間(収用手続への移行から取得まで) : 約1/3短縮(約31→21ヵ月)
○ 地域福利増進事業における利用権の設定数: 施行後10年間で累計100件
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
所有者の探索において、原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することとするなど(※)合理化を実施。
2.所有者不明土地の利用の円滑化に向けた課題
○ 所有者の探索
所有者の探索に、多大な時間、費用、労力を要するケースが存在
・固定資産課税台帳情報など、有益な所有者情報にアクセスできず、探索が非効率になっている
・土地収用制度などを利用するにあたり、地元精通者や近隣住民等への聞き取り調査など、現在では効果が得られる見込みが少なくなっている調査に労力を費やしている
○ 探索の結果、所有者が不明である土地の利用
所有者不明土地の利用を可能とする現行制度を活用するにあたり、手続に時間を要する場合や、そもそも制度の適用対象とならず所有者不明土地を利用することができない場合が存在
○所有者不明土地が増加する中で、公共事業をはじめとする円滑な利用に支障が生じている。
○所有者不明土地の利用に当たり、①所有者の探索において、利用のメリットに見合わないような多大な時間・費用・労力を要すること、②所有者不明土地の利用を可能とする土地収用法の不明裁決制度について、手続に時間を要する、適用対象が限られるなどの課題がある。こうした課題
に喫緊に対応するため、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)を制定。