第15章 土地基本法 (平成元年法律第84号)
・ 我が国における土地についての基本理念を定めた法律
・ バブル期の地価高騰における投機的取引の抑制の要請等を背景に制定
・ 地価が継続的に上昇し、高い利用ニーズの下で土地が利用・取引されていくことを前提に、適正な土地利用を志向する規定
土地に関する制度の現状と課題
検討の背景 (土地所有を取り巻く現状)
対応の必要性 (土地基本法の見直し)
○ 国民の諸活動の基盤であり、その利用・管理が他の土地の利用と密接な関係を有する等の土地の特性に鑑み、公共の福
祉の観点から、土地は条件に応じて適切に利用・管理されなければならない。
○ 憲法、土地基本法に則り、土地所有権には制約が伴う。土地については公共の福祉が優先され、所有者が責務を果たさずに悪影響が生じている場合には、土地の適切な利用・管理の確保のため、土地所有権は制限され得る。
○ 所有者をはじめ土地に関係する者の適切な役割分担を明らかにした上で、人口減少社会に対応した土地の適切な利用・管理の確保のため、土地に関する制度・施策を再構築すべき。
土地の利用・管理に関する責務と役割分担
所有者:
・土地の条件に応じて適切に利用・管理
・利用希望者に譲渡・賃貸
・登記を適時に行い、境界画定に努力・協力(法的管理)
近隣住民、地域コミュニティ等:
・利用・管理による悪影響・受益等を踏まえ、自らの、あるいは地域の利益の観点から、必要に応じて利用・管理に関与
地方公共団体:地域の公益を実現する立場から
・所有者や地域住民等が役割を担うことを支援、促進
・悪影響の度合い・緊急性が高い等の場合には直接対応
(代執行等)
・必要に応じて地域の土地を利用・管理、取得
・土地利用・管理の計画・指針等の提示
まちづくり団体等:
・地方公共団体の役割を一部分担し、連携・支援
国:最終的な土地政策の責任を担う立場から
・関連制度を構築、地方公共団体等の取組を支援
・地方公共団体と協力して法的管理等を支える情報インフラ(所有者、境界等の土地情報)を整備、最終的な管理の受け皿機能を確保
土地についての基本理念と責務
所有者 :
近隣住民等 :
国、地方公共団体等:
第一次的には、所有者自らが土地の適切な利用・管理を確保することが求められる(所有者の責務)
必要に応じて役割を担うことで、土地の適切な利用・管理が確保され、住民、地域の利益につながる場合がある(所有者の責務を補完)
①所有者や近隣住民等が役割を担うことの支援・促進、そのための制度構築を行う
②生活環境の保全、住民の安全確保等の観点から必要な場合には、市町村、都道府県、国は、適切な役割分担の下、自ら適切な利用・管理、取得の確保に努める
【参考】国土審議会土地政策分科会特別部会とりまとめ概要 ②
土地の利用・管理に関して必要な措置の方向性
補完 支援
○ 所有者や所有者以外の者が責務や役割を担うことを支援し、促すための措置について、関係各省が具体的な制度設計等について検討を深め、関係する個別法や行政の施策等により講じていくことが求められる。
地方公共団体(まちづくり団体等と連携・協力)
所有者による利用・管理(所有者の責務)
・土地取引の円滑化・促進
(マッチング機能の強化等) 所有者以外の者の協力による利用・管理
・土地の利用を促す措置
・所有者に管理を促す措置
(行政指導、管理委託の斡旋等)
国
・ 土 地の 適切な利用・管理、円滑な取引を支える情報基盤整備
(登記の促進、地籍調査の・地域における 推進等)
合意形成の促進(相談窓口、コーディネート等)
・地域における利用・管理への支援
(地域コミュニティへの支援等)
所有者以外が悪影響の除去を一定の手続により行うことを可能にする措置(相隣関係、代執行等)
共有者に合理的な手続に基づき土地の利用・処分を可能にする措置
悪影響が生じている土地の場合
悪影響が生じている放置土地(所有者不明土地を含む)の場合
近隣住民、地方公共団体等が悪影響の除去を合理的に実施利用・管理の内容、水準について、必要に応じて地域において話合いを行い合意形成を図る
地域で利用・管理するとされた土地
地域による利用・管理(近隣住民が草刈りを実施等)
公共性がある場合には、地方公共団体等が自ら管理・取得
公共的目的のための利用・管理・取得を円滑化
所有者以外が悪影響の除去を合理的な手続により行うことを可能にする措置
地域での利用・管理までは不要とされた土地
所有者が引き続き最低限の管理
一定の条件を満たす場合、国が取得
所有者による利用・管理が困難な土地
所有者自身による利用・管理
所有者による利用
管理委託等による管理
新たな所有者等による利用・管理
新たな所有者・賃借人等による利用
共有者による適切な利用・管理
所有者による利用・管理と比較衡量の上、近隣住民、地方公共団体等が悪影響の除去を実施
・地方公共団 体 等 の取組を支援
土地の適切な利用・管理のため必要な措置(基本的施策)
【参考】国土審議会土地政策分科会特別部会とりまとめ概要 ③
土地の利用・管理に関して必要な措置の方向性
地籍調査の円滑化・迅速化のため必要な措置の方向性(概要)
民間等の測量成果
官民境界の先行調査
調査する官民の境界
○ 防災やまちづくりの観点から、道路等と民地との境界(官民境界)を先行的に調査し、国土調査法上の認証を得て公表。
尾根
畑跡
林道
○ 里道 リモートセンシングデータを活用した新手法の導入により、現地での立会や測量作業を効