無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力
貸金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和63年(オ)第1733号
【判決日付】 平成5年1月21日
【判示事項】 無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力
【判決要旨】 無権代理人が本人を共同相続した場合においては、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理行為が有効となるものではない。
(反対意見がある。)
【参照条文】 民法113
民法117
民法896
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集47巻1号265頁
民法
(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。