従業員の財産形成等を目的として結成された持株会の会員に対する会社の奨励金の支出が商法294条ノ2の利益供与にあたらないとされた事例
【事件番号】 福井地方裁判所判決/昭和59年(ワ)第53号
【判決日付】 昭和60年3月29日
『昭和60年重要判例解説』商法事件
熊谷組事件
損害金返還等請求事件
【判示事項】 従業員の財産形成等を目的として結成された持株会の会員に対する会社の奨励金の支出が商法294条ノ2の利益供与にあたらないとされた事例
【判決要旨】 会社及び同社が全額出資する子会社の従業員が、少額資金を継続的に積立てることにより会社の株式を取得し、もって従業員の財産形成をなし、会社との共同体意識の高揚を図る目的で設立された団体である会社持株会の会員らに対し、会社が同会の趣旨に賛同して、同会との取決めにより、従業員の勤労意欲向上等の趣旨も含めて同社の従業員に対する福利厚生の一環として、一定の額及び割合による奨励金を無償で支出することは、商法二九四条ノ二により禁止される利益供与にあたらない。
【参照条文】 商法294の2
【掲載誌】 判例タイムズ559号275頁