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2024年07月13日
パート・有期雇用労働法の平成30年改正3 第3章 不合理な待遇差を解消するための規定の整備

第3章 不合理な待遇差を解消するための規定の整備

 

まず、これまで均等待遇規定については短時間労働者についてのみ定められており、有期雇用労働者については規定がありませんでしたが、有期雇用労働者についても均等待遇規定の対象となりました。

 

(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)

事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第11条第1項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」といいます。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(第10条及び第11条第1項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」といいます。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはなりません(パート・有期労働法第9条)。

 

 

また、均衡待遇規定について、これまでは旧労働契約法20条に規定されていましたが、パートタイム・有期雇用労働法8条に移管され、「不合理な待遇差」にあたるか否かの判断において、当該待遇の性質、目的に照らして適切と認められるものを考慮して判断することが明文化されました。

 

これは、旧労働契約法20条下での判例で示されてきた基準ですが、それが明文化されたものといえます。

 

(不合理な待遇の禁止)

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」といいます。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはなりません(パート・有期労働法第8条)。

 

 

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

 

まず、これまで待遇内容や待遇の決定に際しての考慮事項について、短時間労働者・派遣労働者は説明義務規定が存在しましたが、有期雇用労働者は規定が存在しませんでした。

 

今回、パートタイム・有期雇用労働法の改正によって、有期雇用労働者についても、待遇内容や待遇の決定に際しての考慮事項について、説明義務規定ができました(パートタイム・有期雇用労働法6条、14条1項)。

 

同一労働同一賃金の推進

非常勤や有期雇用といったパートタイム労働者の待遇改善のため、仕事内容や配置転換の範囲が正社員と同じである場合は賃金や休暇、福利厚生などについて同じ待遇確保(均等待遇)を企業に義務付ける。仕事内容などに違いがある場合も不合理な格差を禁止する(均等待遇)。格差について企業は労働者に内容や理由を説明しなければならない。

 

また、これまで、説明義務の対象は本人の待遇に関する事項に限定されていましたが、短時間労働者・有期雇用労働者について、使用者は求めに応じて正規雇用労働者との待遇差の内容・理由などの説明義務を負うことになりました(パートタイム・有期雇用労働法14条2項)。

 

更に、短時間労働者・有期雇用労働者が待遇差の内容・理由などについて説明を求めた場合に、当該求めをしたことを理由とした不利益取扱いが禁止されました(パートタイム・有期雇用労働法14条3項)。

 

(労働条件に関する文書の交付等)

 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(2項及び第14条第1項において「特定事項」といいます。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」といいます。)により明示しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法6条1項)。

 事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めるものとします(パートタイム・有期雇用労働法6条2項)。

 

(事業主が講ずる措置の内容等の説明)

第14条

 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第8条から13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除きます。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条1項)。

 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第6条から13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条2項)。

 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条3項)。

 

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