「石に泳ぐ魚」事件・名誉・プライバシー等の侵害に基づく小説の出版の差止めを認めた原審の判断に違法がないとされた事例
損害賠償等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成13年(オ)第851号、平成13年(受)第837号
【判決日付】 平成14年9月24日
【判示事項】 名誉、プライバシー等の侵害に基づく小説の出版の差止めを認めた原審の判断に違法がないとされた事例
【判決要旨】 甲をモデルとし、経歴、身体的特徴、家族関係等によって甲と同定可能な乙が全編にわたって登場する小説において、乙が顔面にしゅようを有すること、これについて通常人が嫌う生物や原形を残さない水死体の顔などに例えて表現されていること、乙の父親が逮捕された経歴を有していることなどの記述がされていることなど判示の事実関係の下では、公共の利益にかかわらない甲のプライバシーにわたる事項を表現内容に含む同小説の出版により公的立場にない甲の名誉、プライバシー及び名誉感情が侵害され、甲に重大で回復困難な損害を被らせるおそれがあるとして、同小説の出版の差止めを認めた原審の判断には、違法がない。
【参照条文】 民法1の2
民法198
民法199
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事207号243頁
裁判所時報1324号319頁
判例タイムズ1106号72頁
判例時報1802号60頁
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。