交通事故・相続・債権回収でお困りの方はお気軽にご相談下さい

法律相談のご予約・お問い合わせはこちらまで03−6904−7423
新着情報
2024年07月17日
特許法等の令和3年改正7 第7章 ③特許権侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入

第7章 ③特許権侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入

 

1.新旧対照表

改正される条文:特許法105条の2の11、弁理士法4条2項4号

 

特許法105条の2の11

 

(新設)

1 民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所は、特許権・または専用実施権の侵害に係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

2 民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権・または専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

3 当事者は、裁判所書記官に対し、前2項の規定により提出された書面の閲覧もししくは謄写・またはその正本、謄本もししくは抄本の交付を請求することができる。

4 民事訴訟法第91条第5項の規定は、第1項および第2項の規定により提出された書面の閲覧および謄写について準用する。

 

2.施行期日

令和4年4月1日

 

3.改正法の概要等

特許権侵害訴訟は、民事訴訟であるため、特許法において特別の定めがない限り、民事訴訟法の規定が適用されます。したがって、判決の効力は当事者にのみおよび、裁判所の判断の基礎となる証拠の収集および提出は当事者の責任であり権限とすることが原則です。

 

しかしながら、近年の特許を巡る情勢の変化に起因して、特許権等侵害訴訟における裁判所の判断が、確定判決の効力の及ぶ当事者等以外の第三者に対しても事実上の大きな影響を及ぼす問題領域が出てきており、そのような場面では、裁判所が影響を受ける第三者の事業実態等も踏まえて判断することが望ましい場合があり、当事者が上記民事訴訟の原則に従って証拠を収集する際、第三者の事業実態等も証拠として収集し、裁判所に提出することが期待されると考えられました。

 

特許権侵害訴訟の結果は、訴訟の当事者のみならず、他の業界に対しても、その事業活動に対して多大な影響を与える可能性があります。また、当事者にとって、他の業界の事業実態などに関する証拠収集が困難なときがあります。そのため、当事者の申し立てがあれば、裁判所が必要と認めるときにかぎり、広く一般の第三者に対して意見募集を行うことができるようになります。

 

両当事者の合意を得て第三者からの意見募集が実施された事例はあるものの、意見募集の実施に際して全ての当事者の合意を得ることは困難な場合があるため、必ずしも全ての当事者が合意をしている場合でなくとも広く一般の第三者からの意見募集を行うことができる制度を創設することが望ましいとの指摘がありました。

 

そこで、裁判所が、広く一般の第三者に対し、事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について意見書の提出を求める制度が創設されました。

 

提出された意見書は、当然には訴訟記録を構成しないため、各当事者は、提出された意見書を閲覧、謄写等した上で、各自が裁判所の判断の基礎とすることを望むものについては、裁判所に書証として提出する必要があります。

 

経過措置は定められておらず、施行期日において既に係属中の事件についても、第三者意見募集を求めることは可能です。

 

top

法律相談のご予約・お問い合わせはこちらまで03−6904−7423