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2024年07月19日
職員の行為が国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項に違反する場合と同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項違反

職員の行為が国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項に違反する場合と同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項違反

 

 

              行政処分無効確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和47年(行ツ)第52号

【判決日付】      昭和52年12月20日

【判示事項】      1、職員の行為が国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項に違反する場合と同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項違反

             2、懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否に関する裁判所の審査方法

             3、争議行為等の禁止規定違反などを理由としてされた税関職員に対する懲戒免職処分が裁量権の範囲を超えこれを濫用したものとはいえないとされた事例

             (3につき反対意見がある)

【判決要旨】      1、職員の行為が国公法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項に違反する場合であつても、それが同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項の違反となることを妨げられるものではない。

             2、裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、右処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきである。

             3、勤務時間内の職場集会、繁忙時の怠業、超過勤務の一せい拒否等の争議行為に参加しあるいはこれをあおりそそのかしたりしたことが国家公務員法の争議行為禁止規定に違反するなどを理由として税関職に対しされた懲戒免職処分は、右職場集会が公共性の極めて強い税関におけるもので職場離脱が全体の職場で行われ当局の再三の警告、執務命令を無視して行われたこと、右怠業が業務処理の妨害を伴いその遅延により業者に迷惑を及ぼしたこと、右超過勤務の一せい拒否が輸出関係全体に及び業者から抗議が出ていたこと、職員に処分の前歴があることなど判示のような事情のもとでは、社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいえず、懲戒権者にまかされた裁量権の範囲を超えこれを濫用したものと判断することはできない。

             (3につき、反対意見がある。)

【参照条文】      国家公務員法98-1

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98-5

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)101-1

             人事院規則14-1-3

             行政事件訴訟法30

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)82

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)84

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集31巻7号1101頁

 

 

国家公務員法

(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)

第九十八条 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

② 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

③ 職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。

 

(職務に専念する義務)

第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。

② 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

 

(懲戒の場合)

第八十二条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

② 職員が、任命権者の要請に応じ特別職に属する国家公務員、地方公務員又は沖縄振興開発金融公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職国家公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、当該職員に対し、同項に規定する懲戒処分を行うことができる。定年前再任用短時間勤務職員が、年齢六十年以上退職者となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第六十条の二第一項の規定によりかつて採用されて定年前再任用短時間勤務職員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。

 

(懲戒権者)

第八十四条 懲戒処分は、任命権者が、これを行う。

② 人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。

 

 

行政事件訴訟法

(裁量処分の取消し)

第三十条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。

 

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