第1章 はじめに
令和元年(2019年)5月10日に「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第2号)が成立し(同月17日に公布)、一部の規定を除き、令和2年(2020年)4月1日に同改正法が施行されました(附則1条)。
第2章 改正民事執行法の概要(令和元年改正)
本改正は,①債務者の財産状況の調査に関する制度の実効性の向上,②不動産競売における暴力団員等の買受けの防止の方策,③国内の子の引渡し及び国際的な子の返還の強制執行に関する規律の明確化,及び④民事執行法のその他の見直しを目的として,民事執行法及び「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」の一部を改正するものである。
①は判決などの債務名義の執行力の向上に資するもので裁判における権利の実現ひいては民事司法制度への信頼に大きく繋がるものである。②は競売手続からの反社排除を目指し,③は民事執行法の欠缺部分を充足するものであり,④は民事執行法の不備を補うものである。
施行以前に発生している債務名義でも改正法の制度は利川できます。
本改正により変更された民事執行法について同改正前を「旧法」または「旧民事執行法」,本改正後の民事執行法(改正により変更を生じない民事執行法を含む)を「新法」または「民事執行法」,同様に,本改正により変更された改正前の民事執行規則を「旧民事執行規則」,本改正後の民事執行規則(改正により変更をされていない民事執行規則を含む)を「民事執行規則」と表記します。