旅行業法に関する裁判例を網羅しています。
目次
第1部 旅行業法2条1項(定義)、3条(登録)、29条1号(準用)所定の登録制度と憲法22条1項
第2部 代金返還等請求事件
第1章 旅行業者の主催外国パンフレットに東京発着、大阪名古屋発着同料金と記載されている場合に、大阪発着で申し込んだ旅行者については東京-大阪間も主催旅行の範囲であるとされた事例
第3部 旅行業者と代理店業者との関係
第1章 旅行業代理店業者に航空券を売り渡した一般旅行業者が右代理店業者の所属旅行業者に対して代金回収不能による損害の賠償を請求することが信義則上許されないとされた事
第4部 利用者の旅行業者に対する民事損害賠償請求事件(債務不履行責任)
第1章 一 ワールドカップ観戦のための主催旅行契約において、旅行業者の債務の内容は、旅行サービスの提供そのものを直接保障するものではなく旅行サービスの提供について手配する地位にあり、観戦チケットの手配債務の履行があるとされた事例
二 観戦チケット不足が判明した後の旅行業者の対応が不完全履行にならないとされた事例
第2章 サウジアラビアへのパッケージツアーの主催旅行契約において、旅行サービスの内容に不備があったが、旅行先の政府機関が企画・管理して誘致したツアーであり、この企画を採用して提供した旅行業者には落ち度はなかったとして、債務不履行等の責任が認められなかった事例
第3章 旅行業者がウェブサイト上で募集した海外旅行ツアーの代金に誤表示があった場合において、申込者と旅行業者の間に誤表示の代金での予約契約及び本契約の成立を認めた上、同申込者を同海外旅行ツアーに参加させなかった旅行業者の債務不履行責任が認められた事例
第5部 利用者に対する旅行業者の損害賠償責任(安全確保義務)
第1章 1、台湾を旅行目的地とする主催旅行の実施中に発生したバス転落事故に関し旅行業者の損害賠償責任が否定された事例
3、外国を旅行目的地とする主催旅行契約において旅行業者が旅行者に対して負担する安全確保義務の具体的内容
第2章 1、パキスタンを旅行目的地とする主催旅行の実施中に発生したバス転落事故に関し旅行業者の損害賠償責任が否定された事例
2、外国を旅行目的地とする主催旅行契約において旅行業者が旅行者に対して負担する安全確保義務の具体的内容
第6部 弁済業務保証金
第1章 旅行業協会は総債権者への平等弁済を理由として弁済業務保証金の還付のための債権の認証を拒否することができるか(消極)
第2章 一 弁済業務保証金の供託金還付請求権の行使に際してなされる旅行業協会の認証(旅行業法22条の9第3項は、行政処分に当たらない
二 旅行業協会は、定期航空運送事業者が代理店契約に基づいて取得した旅行代理店に対する債権については、弁済業務保証金制度によって保護すべき取引に該当しないことを理由として、その認証を拒否することができる
第7部 旅行業法違反被告事件
第1章 旅行業法違反の事案(国土交通大臣(現観光庁長官。本件は平成19年から同20年の犯行)の行う登録を受けないで、海外でのバイクツアーに関する計画を作成して旅行客を募集し、旅行客からの申し込み及びその報酬を得て、その計画に定める航空機の運送サービスの提供に係る契約を業者との間で締結し、もって、無登録で旅行業を営んだ)において、同法2条1項の「旅行業」の定義についての原審の解釈を是認し、さらに職権で、同法29条1号にいう「旅行業を営む」とは「営利の目的で、旅行業に該当する行為を行うことをいうものと解される」と判断したが、原判決が営利目的の有無に関する審理を尽くさないまま営利目的を認定したことには、訴訟手続の法令違反があるとして破棄差し戻した事例
第2章 海外でのバイクツアーに関する計画を作成して旅行客を募集し、旅行客からの申込み及びその計画に定める航空機の運送サービスの提供に係る契約を業者との間で締結し、もって、無登録で旅行業を営んだという事案において、「包括料金による企画旅行においては、旅行業該当行為部分の損失の減少が他の部分の増加につながるので、原則的に旅行業法29条1号にいう営利の目的が認められる」旨の原審の判断を前提としつつ、「他の部分」の営利性を問題とすることなく、単に、そこに充てる費用の増加を目的としていただけでは、営利の目的を認めることができず、旅行代金部分の損失の減少に着目するとしても、その減少分が充てられるイベント部分に営利の目的があることが必要であるとした上で、本件については、被告人らに営利の目的があったと認めた事例