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2019年12月30日
公募による新株発行と不公正発行―出光興産事件決定―東京地決平成29・7・18
公募による新株発行と不公正発行―出光興産事件決定―東京地決平成29・7・18●評釈、大杉謙一・ジュリスト2020年1月号(No.1540)87頁 ・抗告審である東京高決平成29年7月19日金融・商事判例1532号57頁 新株発行差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件 【判示事項】 相手方の株主である抗告人らが,相手方が取締役会決議に基づいて公募増資の方法で行う普通株式の発行(本件新株発行)が会社法210条2号に該当し,これによって抗告人らが「不利益を受けるおそれがある」として,本件新株発行を仮に差止めるよう求めた事案。 原審は本件申立てをいずれも却下したため,抗告人らが抗告した。 抗告審は,本件新株発行の主要目的が,客観的な資金調達の目的ではなく,抗告人らと相手方との間の支配権をめぐる実質的な争いにおいて自らを有利な立場に置くとの目的であるとまで断ずるに足りる証拠はないなどとし,被保全権利の疎明がないとして却下した原決定を支持し,抗告をいずれも棄却した事例 ・原審である東京地決平成29年7月18日金融・商事判例1532号41頁 新株発行差止仮処分命令申立事件 【判示事項】 公募増資の方法で行う新株発行が、不公正な方法による発行には当たらないとして、その発行を差し止める旨の仮処分決定の申立てが却下された事例 【判決要旨】 会社法210条2号所定の「著しく不公正な方法」による募集株式の発行とは、不当な目的を達成する手段として株式発行が利用される場合をいうと解されるところ、会社の支配権につき争いがあり、現経営陣が、支配権を争う特定の株主の持株比率を低下させ、もって自らの支配権を維持・確保することなどを主要な目的として新株発行をするときは、当該株式発行は不当な目的を達成する手段として行われる場合に当たるというべきである。   本件の新株発行については、債務者経営陣の全部または一部に、株主を巻き込んだ債務者の支配権を巡る実質的な争いにおいて自らを有利な立場に置くとの目的が存在したものと推認される一方で、債務者には客観的な資金調達の目的も存在したものと認められ、両者は併存するものというべきであるが、その主要な目的が、客観的な資金調達の目的ではなく、債権者らと債務者経営陣との間の債務者支配権を巡る実質的な争いにおいて自らを有利な立場に置くとの目的であるとまで断ずるに足りる証拠はなく、他にこれを認めるに足りる証拠はないから、本件新株発行が「著しく不公正な方法」により行われたものであるとの疎明があったといえない。 【参照条文】 会社法210 上記評釈、大杉謙一・ジュリスト2020年1月号(No.1540)87頁は、第三者割当型の新株発行は支配権維持・確保目的と推認されやすいが、証券会社の引き受け型では、既存株主の持ち株比率を希釈化するものの、特定の株主の持ち株比率を高めるものではないから、資金調達の目的が推認されやすいとする。

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