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2020年01月07日
育児時短勤務申出時の無期契約から有期パート契約への変更―フーズシステムほか事件―東京地判平成30・7・5

育児時短勤務申出時の無期契約から有期パート契約への変更―フーズシステムほか事件―東京地判平成30・7・5●評釈、日原雪恵・ジュリスト2020年1月号(No.1540) 103頁
マタニティハラスメントの事例である。
東京地判平成30年7月5日労働判例1200号48頁 (確定)
雇用契約上の地位確認等請求事件
【判示事項】 1 育児介護休業法23条の2における規定の文言や趣旨等に鑑みると,当該規定は,育児のための所定労働時間の短縮申出を理由とする不利益取扱いを禁止し,育児のための所定労働時間の短縮措置を希望する労働者が懸念なく同申出をできるようにしようとする目的を実現するために,これに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり,育児のための所定労働時間の短縮申出および同措置を理由として解雇その他不利益取扱いをすることは,同条に違反するものとして違法であり,無効であるとされた例
2 育児介護休業法23条の2の対象は事業主による不利益な取扱いであるから,労働者と事業主との合意に基づき労働条件を不利益に変更したような場合には,事業主単独の一方的な措置により労働者を不利益に取り扱ったものではないから,直ちに違法,無効であるとはいえないとされた例
3 労働者の不利益変更にかかる合意は,もともと所定労働時間の短縮申出という使用者の利益とは必ずしも一致しない場面においてされる労働者と使用者の合意であり,かつ,労働者は自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば,当該合意の成立および有効性についての判断は慎重にされるべきであって,そうすると,上記短縮申出に際してされた労働者に不利益な内容を含む使用者と労働者の合意が有効に成立したというためには,当該合意により労働者にもたらされる不利益の内容および程度,労働者が当該合意をするに至った経緯およびその態様,当該合意に先立つ労働者への情報提供または説明の内容等を総合考慮し,当該合意が労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要であるとされた例
4 被告Y1社が原告Xとの間でパート契約を締結したことは,育児介護休業法23条の所定労働時間の短縮措置を求めたことを理由とする不利益取扱いに当たるとされた例
5 育児介護休業法23条に従い,嘱託勤務のままで所定労働時間の短縮措置をとるべきであったにもかかわらず,パート契約でなければ時短勤務はできない旨の説明をしたうえで,Xの真に自由な意思に基づかないで,嘱託社員からパート社員へ雇用形態を変更する旨のパート契約を締結させ,事務統括から事実上降格したことは,同法23条の2の禁止する不利益取扱いに当たり,不利益の内容や違法性の程度等に照らし,Xに対する不法行為を構成するとされた例

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