民事調停法、特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。
目次
第1部 民事調停法2条にいう「民事に関する紛争」
第1章 調停の申立において申立人が紛争の要点として述べるところが、結局徳義上の問題にとどまるときは、民事調停法にいう「民事に関する紛争」には該当しない。
第2部 調停主任裁判官について忌避
第1章 調停主任裁判官について忌避申立の可否(消極)
第3部 利害関係人の参加(民事調停法11条)
第1章 調停手続に利害関係を有する者が調停期日に毎回出頭して居り、当事者双方および調停委員も同人が調停期日に出頭することを希望していた場合でも、これだけでは(原判決理由挙示事実関係参照)同人を民事調停法11条にいう、調停手続に参加した利害関係人ということはできない。
第4部 調停の成立
第1章 民事調停法16条は、合意成立の際調停調書が作成されていることを要求しているものではない。
第2章 調停成立の際申立の趣旨、事情の部分を読み聞かせず、かつ期日後作成された調停調書の効力
第5部 調停の効力
第1章 調停条項に給付義務が記載されているときに、更に同一の給付を訴求する利益の有無
第2章 調停の無効、取消を主張することは許される
第3章 調停証書記載の条項について、その無効確認を求める前に調停条項と相容れない法律関係の確認を求むることの可否
第4章 調停の成立後でも慰藉料請求ができるか
第5章 1、調停期日に出頭していない本人が出頭した旨記載されている調停調書の効力
2、民事調停法16条の合意と調停の目的である権利関係についての直接の譲歩の要否
第6章 1、自動車事故による損害に関し、自動車損害賠償保障法72条1項に基づく政府からのてん補金を損害賠償の一部に充てる前提のもとに、これを控除した残額についてのみ支払義務を認める旨の調停が成立したところ、前提としていた政府からのてん補額が一部しか支給されなかった場合、右調停につき、その不足額に相当する部分のみが無効となるに過ぎないとした事例
2、右調停の全部無効を前提として、新たに損害賠償を求める訴訟の追行に必要な弁護士費用相当額を右自動車事故による損害の一部として認容した事例
第7章 貸金債権およびこれを担保する不動産の売買予約における完結権につき右債務を弁済したときは予約完結権のための所有権移転請求権保全の仮登記を抹消する旨の調停が成立した場合において、調停条項に右予約完結権の行使の効果について明記されておらずその他判示の事情のもとでは、右調停により、前記予約完結権の行使の効果が当初の代物弁済的性質からいわゆる清算的性質に変更したものと認めることはできない。
第8章 調停調書に記載された担保取消の同意が条件付同意であるとされた事例
第6部 調停に付する旨の決定(民事調停法20条)
第1章 受訴裁判所の事件を他の裁判所の調停に付する旨の決定に対しては、民事調停法22条・非訟事件手続法20条によって抗告をなしうる。
第7部 調停手続における代理人
第1章 代理人のみが出頭した調停期日において、調停調書に本人および代理人の出頭を記載しても、調停の効力に影響がない。
第2章 1、民事調停における代理権証明の方法
2、民事調停規則第8条は、当事者の出頭できる場合に代理人を出頭させることを違法とする趣旨ではない。
第3章 調停手続と旧民事訴訟法213条の準用の有無
第4章 1、調停の代理権を証する書面の欠缺と無権代理人の責任
2、右の場合の無権代理人の損害賠償義務の範囲
第8部 調停の調書についての更正決定
第1章 下級裁判所は、上級裁判所において成立した調停の調書について、更正決定をすることはできない
第2章 1、本案訴訟が調停に付されて成立した調停調書の更正決定の手続およびこれに対する即時抗告手続について、本案事件の訴訟代理人は、当然本人を代理することができる。
2、調停調書が調停成立の期日に成立された以上、正本の送達の有無はその効力に関係がなく、従って更正決定をするのに調停調書正本をまず必要とするものでもない。
第3章 1、調停調書の更正決定は裁判所が行うべきものであるとされた事例
2、土地明渡しの条項から建物収去土地明渡しの条項への更正決定が相当とされた事例
第9部 民事調停法19条 (調停不成立等の場合の訴えの提起)
第1章 民事調停法に基づく調停の申立てと民法151条による時効中断の効力
第2章 調停事件終了前に提起された訴と民事訴訟用印紙法4条ノ2
第3章 適法に受理されたが弁論に上程されずに調停成立に至った附帯控訴状と手数料還付の要否(消極)
第4章 民事調停が不調になった後に提起された訴えが、民事調停法19条により、調停申立の時に提起されたものとみなされた場合において、右民事調停手続でなされた鑑定費用は、その後に提起された訴訟の訴訟費用には含まれない
第10部 終局決定以外の決定に対する即時抗告
第1章 民事調停申立却下の決定に対しては、申立人は、通常抗告を提起することができる
第2章 民事調停法13条前段により事件を終了させる措置に対しては、不服申立てをすることができない
第11部 請求異議訴訟
第1章 調停に対する請求異議の訴えの第1審の管轄
調停について要素の錯誤の認められない1事例
第2章 調停調書の執行力が否定された事例
第12部 第三者異議の訴え
第1章 民調法16条、民訴法223条、221条により、目的物の譲受人(承継人)に対抗できる執行力のある債務名義を有する債権者は、右債務名義に基づき右目的物に対してなされた仮処分執行に対し第三者異議の訴えを提起することができるとされた事例
第13部 宅地建物調停
第1章 土地明渡の調停において、解除当時当該地上に現存する相手方所有の一切の建物を収去し土地明渡すべきことを定めることの許否
第2章 家屋収去土地明渡の調停において家屋を移築すべき適当な借地をあっ旋する旨の調停条項の解釈
第3章 調停において3か月分以上の賃料不払があるときは土地賃貸借を解除できる旨の条項がある場合において、その賃料は調停成立前のものを含むとされた事例
第14部 農事調停
第15部 特定調停
第1章 過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で特定調停手続において成立した調停であって、借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及びいわゆる清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例
第2章 一 借り換えについて交付される貸金業法17条書面に、借り換えの対象である利息債権の額の記載がないとして、貸金業法43条のみなし弁済の適用が否定された事例
二 貸金業者が貸付けの当初に償還表を交付しているが、貸金の返済の都度貸金業法18条書面を交付していない場合と、同法43条のみなし弁済の成否(消極)
三 借り換え等の一連の貸付け取引が行われている場合に、利息制限法の適用による過払金及びその遅延損害金は、次の貸付金に充当されるか(積極)
四 貸金業者が、多重債務者の債務整理を受任した弁護士から取引経過の開示を求められたにもかかわらず拒絶した行為が、不法行為であるとされ、債務者に対する損害賠償の支払いが命じられた事例
第3章 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(特調法)12条に基づいて発せられた文書提出命令につきその発令要件が認められないとされた事例