出資法に関する最高裁・高裁の裁判例を網羅しています。
出資法の正式名称は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律です。
目次
第1部 預り金の禁止(出資法2条)
第1章 出資法2条11条と憲法14条
第2章 出資法2条2項にいう「不特定」の意義
第3章 出資法2条にいう「不特定かつ多数の者」の意義
第4章 出資法2条2項にいう「不特定かつ多数の者」の法意
第5章 出資法2条2項にいう「不特定かつ多数の者からの金銭の受入」に該当するとされた事例
第6章 出資法2条、預り金の禁止違反の成立が認められた事例
第7章 出資法2条1、2項にいう「預り金」に当たるとされた事例
第8章 出資法2条1項所定の「預り金」に当たるものと認められた事例
第9章 豊田商事の「純金ファミリー取引」につき、これを指導、勧誘等をした社員2名に詐欺による共同不法行為の責任を認めた事例
第2部 浮貸し等の禁止(出資法3条)
第1章 金融機関の役員が、その地位を利用、自己または当該金融機関以外の第3者の利益を図るため、金員の貸付をなす行為は、その貸付資金が当該役員個人のものであっても、出資法3条に違反する。
第2章 1 出資法3条の禁止する行為の意義
2 銀行支店長による融資の媒介が出資法3条の禁止する行為に該当するとされた事例
第3章 金融機関甲の職員乙が、出資法3条に違背して丙丁間の消費貸借を媒介したとしても、丙が、右消費貸借に基づく貸金債権の弁済に充当するため、丁の甲に対する預金の取立委任を受け、その払戻を乙に依頼した場合において、預金の払戻金の保管等の業務に従事していた乙が払戻手続を了しながら払戻金を横領したときは、甲は使用者責任を免れない。
第3部 金銭貸借等の媒介手数料の制限(出資法4条)
第1章 1、出資法4条所定の「金銭の貸借の媒介を行う者」の意義
第2章 出資法4条1項にいう「金銭貸借の媒介を行う者」の意義
第3章 1、金融業者が借主に指示して、紹介者に支払わせた金員が利息とみなされた事例
2、単に借主を紹介しただけで商法546条等に定める結約書交付等の義務も尽したわけでも、保証をしたわけでもない人に、紹介を受けた貸主は何ら報酬を支払わず借主だけが金員を支払わせられた場合、出資法4条が媒介手数料を取ることを認めていても仲介料名義で支払わせた金員を貸主に対する利息とみなしても不当でない
第4章 1 1件の金銭の貸借の媒介を複数の仲介者が行なった場合と各仲介者が受領する手数料の額についての出資法4条の適用
2 1件の金銭の貸借の媒介を行なった複数の仲介者が出資法4条に定める手数料の制限を超える金員を依頼者に返還する場合と各仲介者が返還すべき金額
第4部 出資法5条(高金利の処罰)
第1章 出資法5条1項の規定は、日歩30銭を超えない利息の約定または賠償額の予定について、利息制限法の適用を除外する趣旨ではない。
第2章 出資法5条1項違反の罪が反復累行された場合の罪数
第3章 出資法5条5項により利息とみなされる金銭の範囲
第4章 1 社会の倫理、道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に、被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除することの可否
2 ヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し、借主が貸付金に相当する利益を得た場合に、借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは、民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
第5章 1、出資法5条3項にいわゆる利息の天引と同視すべき場合
2、同法5条5項のみなし利息と公正証書作成費用および印紙代
第6章 出資法5条5項にいう、貸主が「その貸付に関し受ける金銭」とは、およそ当該貸付行為に関連して貸主が受領する金銭の一切をいい、抵当権設定費用もこれに含まれると解すべきである
第7章 出資法により届出をした貸金業者が契約しもしくは受領しうる利息または損害金と利息制限法
第8章 利息を天引きする方法で金銭を貸し付けた場合における出資法5条1項の「利息の契約」の罪の成否(積極)
第9章 消費貸借契約における早期完済特約(借主の申し入れにより、弁済期前に支払った場合には借主は弁済期までの約定利息を支払わねばならないとする合意)が公序良俗に反するとされた事例
第10章 借主所有のマンションの賃料を貸付の元利金の回収として取得していた被告人が利息として受領した金額を認定するに当たっては、マンションの管理費用を考慮した利息計算方法が定められなければならないとの主張が排斥された事例
第11章 出資法5条2項違反(高金利)の罪について併合罪が認められた事例
第12章 平成15年法136号による貸金業規制法の改正法施行前において、無登録の貸金業者による月1割という高金利の金銭消費貸借契約等が借主の窮迫、無思慮に乗じてなされたものであり、公序良俗に違反するとして無効とされた事例
第13章 出資法5条2項または3項所定の契約罪または受領罪について、同条1項または3項所定の罪の場合と同様に、それが反復累行された場合でも、特段の事情のない限り、個々の契約または受領ごとに1罪が成立すると解すべきである。
第14章 組織的犯罪処罰法13条2項、16条1項ただし書にいう「犯罪被害財産」の意義
第15章 出資法違反事件において、罰金刑が併科されている理由につき、行為者から相応の金額をはく奪するだけでなく、不法利益の取得を目的とする行為が経済的に引き合わないことを、行為者および世人に十分理解させることにあると明確に打ち出し、また、罰金額を量定するにあたり、起訴の対象となっていない高金利貸し付けの全体を考慮することは、利欲性の程度を判断するためであるから余罪を処罰することにはならないとして、検察官の控訴を認容し、1審判決(懲役2年(執行猶予3年間)および罰金750万円)を破棄・自判し、罰金額を1500万円とした事例
第16章 1 被告人両名が、他の共犯者と共謀して、無登録で貸金業を営み、法定利率を超える利息を受領し、その犯罪収益を他人名義の預貯金口座に振込入金させてその取得の事実を仮装したとして、貸金業法、出資法、組織犯罪処罰法の各違反に問われた事案について、反社会性の強い、計画的・職業的犯行で、法外な利息、受領した利益の大きさ、仮装した犯罪収益も著しく高額であって、本件のような犯罪に罰金刑が懲役刑に併科されるのは不法利益の取得を目的とする犯罪利益が経済的に引き合わないことを感銘させることにあり、多額の追徴金や被告人らの資力の乏しさが罰金刑併科の重要な考慮要素とならないなどとして量刑不当の主張が排斥された事例
第17章 質権設定契約がない場合はもちろん、実質的に質権設定契約がないのと同視される場合、すなわち「無担保に等しい扱いをもって金銭を貸し付ける行為」が行われた場合(質屋営業を仮装して脱法行為が行われた場合を含む。)には、貸金業法2条1項ただし書、質屋営業法36条2項の適用はなく、貸金業法違反および出資法違反の各罪が成立する。
第5部 金銭の貸付け等とみなす場合(出資法7条)
第1章 金融業者の金銭貸付は、商行為にならない
第2章 出資法7条1項、12条1号の罪は、貸金業の届出の義務が履行されるまで継続する継続犯か(積極)
第6部 日賦貸金業者の特例
第1章 1 日賦貸金業者の貸付けについて借用証書の記載内容が貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面の記載事項である「各回の返済期日」の記載として正確性または明確性を欠き借主に交付された上記借用証書の写しは上記書面に該当しないとされた事例
2 日賦貸金業者の貸付けについて貸金業の規制等に関する法律43条1項の規定が適用されるために平成12年法律112号による改正前の出資の受入れ、預かり金および金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律33号)附則9項所定の各要件が実際の貸付けにおいて現実に充足されていることの要否
3 日賦貸金業者の貸付けについて平成12年法律112号による改正前の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律33号)附則9項2号所定の要件が実際の貸付けにおいて現実に充足されているとはいえず貸金業の規制等に関する法律43条1項の規定が適用されないとされた事例
3 平成12年法律112号による改正前の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律33号)附則9項3号所定の「返済期間の100分の70以上の日数」に日賦貸金業者が集金する方法により金銭を取り立てたにもかかわらず返済のされなかった日を含めることの可否
4 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力