労働問題
1.集団的労務問題
会社と労働組合との問題が集団的労務問題です。会社が組合潰しを行ったなどとして、不当労働行為で訴えられることがあります。
不当労働行為に関しては、組合側から地方労働委員会にまず提起され、決着がつかない場合には、中央労働委員会、地方裁判所への訴訟提起、高等裁判所への控訴、最高裁判所への上告という順序をたどります。
2.個別労務問題
個別労務問題の多くは、解雇でしょう。
(1)懲戒解雇
従業員が不正な行いなどをした場合で、その情状が重い場合には、懲戒解雇できると規定しているのが、通常の就業規則です。
その場合でも、例えば、従業員に改善の余地があるなどの一定の場合には、懲戒解雇は無効とされます。
(2)人員整理(整理解雇)
会社がリストラとして人員整理を実施すると、人員整理による解雇が不当だとして解雇された人が会社を提訴する事例も多くなってきました。
裁判所の判例では、会社の整理解雇は、
- 整理解雇の必要性、
- 配転による剰員吸収措置、
- 人選の合理性、
- 労働者側との協議
の4要件を満たすことが必要とされることが多いのです。
整理解雇が会社の事業上必要となる場合には、上記の4要件を満たすように事前に検討した上で、実施する必要があるでしょう。
近時の裁判例では、昨今の厳しい経済情勢を反映して、上記の要件を緩和して考える裁判例が増えてきています。
(3)セクハラ・パワハラ
解雇以外の問題としては、セクシャル・ハラスメント、パワーハラスメントの問題があります。
会社はセクハラ・パワハラを許容するような体制を取ってはなりません。
セクハラ・パワハラを行った者についての監督を怠ったことにより、会社が損害賠償責任を負う場合があります。
3.労働災害(労災)
労働に際して生じた事故災害(労災)は、労働災害補償としては、労働基準監督署が労災として認定するかどうかが問題となります。
労災補償が支給されれば、その部分については、会社は労働者に対して賠償責任を負いません。
民事事件としては、会社側が、労働者の安全に配慮すべき義務を怠ったために損害賠償責任があるかどうかが争われるケースが多いのです。
事故や災害の状況に応じて、会社側の損害賠償責任があるかどうかが決められます。