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労働
1.残業代
昨今の不況を反映して、残業や休日出勤の割増賃金を支払わない企業が増えているようです。
また、年俸制ならば、残業代等を支払わなくてもよいと誤解している企業が多いようです。
このようなケースでは、使用者は、労働者に対して、残業代等を支払う義務があります。
年俸400万円程度の人でも、消滅時効にかかっていない過去2年間の残業代等だけで、合計200万円にもなることは、ザラです。
そうすると、従業員が100人以上の企業であれば、未払い残業代だけで数億円になってしまう可能性があります。
企業にとっては、気をつけたい労働問題です。
労働者にとっては、残業代を支払ってくれない企業に愛想をつかしたときに、残業代を請求することが多いのです。
2.退職金
従業員の場合
従業員が退職金を請求できるのは、労働契約、就業規則、労働協約などで具体的に定められている場合です。
これらで定められていない場合には、(ア)従業員と使用者との間に具体的な合意がある場合、または、(イ)具体的な金額が計算できる程度まで具体的な慣行のいずれかです。
退職金を支給したり、しなかったり、というケースでは、退職金請求権は認められません。
また、勤続年数を考慮しても、人によって、大幅に退職金の額が異なるケースでは、上記(ア)(イ)のいずれの要件も満たさず、退職金を請求できません。
なお、退職金の消滅時効は5年間です(賃金の消滅時効が2年であるのと違う点に注意してください)。
近時、終身雇用制度が崩れてきたため、従業員退職金制度を廃止する企業が増えてきました。
役員の場合
役員が退職金を請求できるのは、(a)定款の定めがある場合、または、(b)定款に定めがなくとも、株主総会で退職金の支給を決議した場合、のいずれかです。
これらのケースでないと、役員は、退職金を請求できません。
ただし、役員が従業員を兼務している場合には、上記の従業員に関して述べた従業員としての地位に基づく退職金が請求できます。
近時、役員退職金制度を廃止する企業が増えてきました。

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