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破産
破産手続には、破産管財人を選任する方式と、破産管財人を選任しない方式(同時廃止)の2通りがある。
1.破産手続の実際
(1)破産手続に要する期間
破産既済事件のうち3月以内に終了したのが全体の80パーセント。個人の同時廃止事件と思われる。
破産既済事件のうち1年以内に終了したのが全体の92パーセントであり、おおむね1年以内に終了している。
(2)配当の有無、配当率
破産既済事件のうち約4パーセントのみ配当が実施された。
株式会社の破産事件に限って言えば、51パーセントの事件で配当が実施された。配当率は0〜5パーセントまでが、配当を実施した事件のうち53パーセントを占め、5〜10パーセントの配当率の事件を合わせると、配当を実施した事件の70パーセントを占めている。
したがって、株式会社の破産事件のうち、半数は配当なし、半数で配当はあるが、配当率は0〜10パーセントの場合が大多数である。
したがって、消費者が倒産企業にひっかかっても、統計上、債権額の9割は回収の見込みがないと言える。
「配当の見込みがない」という破産管財人の説明に納得できないという債権者の気持ちも分からないではないが、以上に見たとおり、現実は非常に厳しいので、債権者としては、今後の推移を見守るしかない。 かといって、債権者が債権届け出もしないのであれば、配当が仮にあった場合でも、配当を受ける資格すら与えられないので、とりあえず債権届け出だけは提出しておいた方がよい。
(3)債権届出の仕方(書き方)
破産管財人に聞くのがベスト。
裁判所は、個別の案件に関しては、問い合わせには余り応じてくれない。
(4)少額管財(東京地裁、千葉地裁)
東京地裁 破産予納金20万円
     (関連事件であれば何件でも20万円)
千葉地裁 1名の場合20万円
それ以外に官報公告費用
法  人 1万3457円
個  人 1万6413円
同時廃止 1万4170円
予納郵便切手 収入印紙
個  人 1500円
法  人 1000円
2.破産手続の概要
(1)破産
破産手続には、破産管財人を選任する方式と、破産管財人を選任しない方式(同時廃止)の2通りがある。
(2)破産の申立
(1)申立権者
破産の申し立てることができる者については、大別して、自己破産と、債権者からの申立がある。
民事再生手続が失敗に終わった場合には裁判所から職権で破産手続開始決定される場合もある。
(2)申し立てる裁判所
原則として、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所であるが、現実の営業活動を行っているなど関連性のある管轄裁判所にも申し立てることができる。
(3)申立費用
1. 破産予納金
東京地方裁判所の破産予納金は、表のとおりである。
破産管財人選任事件の予納金表(東京地方裁判所の例)
負債総額(単位:円) 法人 自然人
少額管財事件 20万円
5000万未満 70万円 50万円
5000万~1億未満 100万円 80万円
1億~5億未満 200万円 150万円
5億~10億未満 300万円 250万円
10億~50億未満 400万円
50億~100億未満 500万円
100億~250億未満 700万円
250億~500億未満 800万円
500億~1000億未満 1000万円
1000億以上 1000万円以上
結構多額に感じられるかもしれない。
ただし、予納金が少額の少額管財事件が東京地方裁判所破産再生部の約95%である。少額管財事件については後述する。
それ以外に官報公告費用がかかる(法人1万3457円、自然人1万6413円、同時廃止1万1644円)。
また、予納郵便切手が数千円かかる。裁判所に破産申立書を出す際に貼る収入印紙は、自然人1500円(免責分含む)、法人1000円である。
債権者申立の破産事件の場合の収入印紙は1万円である。
2. 申立代理人弁護士費用
破産申立を依頼する代理人弁護士の費用として、法人の場合、東京では標準的な事件では、最低50万円以上とされている。
債権者の数の多寡、負債総額いかんにより、弁護士費用は上記金額よりも多額になるであろう。
事件の内容や弁護士にもよるが、法人破産の場合には、100万円〜数百万円のことも多い。
破産管財人と破産申立代理人弁護士との違いは、破産管財人が中立公正な第三者として行動するのに対して、破産申立代理人弁護士は、破産申立人の味方である。
この違いは一般 に思われているよりも大きな相違がある。
例えば、破産者が資産隠匿をした場合には、破産管財人は厳しく追及するが、申立代理人弁護士は破産者をかばう姿勢をとる傾向にある。
(4)破産申立書
破産申立書の記載事項は、
破産者の本店所在地
役員構成
株主(社員)構成
事業内容
事業の推移
資産の概要
負債の概要
支払停止又は支払不能(破産原因)の事実
多額の負債を負うに至った経緯
10 事業用施設の処理状況
11 在庫商品等の資産の処分状況
12 代表者印及び帳簿の保管状況
13 従業員の状況、労働組合の有無、解雇の有無、給料・解雇予告手当て・退職金の支払状況
14 任意整理の先行の有無
15 訴訟係属の有無
などである。
添付書類としては、以下のようなものが必要となる。
商業登記簿謄本又は登記事項全部証明書
破産申立代理人への委任状
破産申立についての議事録又は取締役の同意書
債権者一覧表(一般債権、優先債権、財団債権に分け、債権者の名称・住所・債権額を記載する)
債務者(売掛先等)一覧表(債務の種類ごとに分類し、債務者の名称・住所・債務額を記載する。)
財産目録
貸借対照表・損益計算書(通常3期分、東京地裁本庁は2期分で足りる)。法人税申告書控えに添付されている決算書で足りる。
清算貸借対照表
不動産登記簿謄本(3カ月以内のもの)
不動産物件目録(嘱託先法務局別 に作成したもの)
賃貸借契約書
預貯金通帳
自動車登録証明書
会員権証書
有価証券(株券、受取手形・小切手など)
生命保険証書・解約返戻金計算書
訴訟関係書類
退職金規程
3.一部弁済方式
  1. (Q)破産予納金以外に、債権者に弁済しなければいけない場合がありますか。
  2. (A)一部弁済方式といって、免責不許可事由がある場合に、債務の一部を弁済させて免責決定を出す方式を採用している裁判所では、債権者へ一部弁済をしなければなりません。
    東京地裁本庁—やっていない。
    東京地裁八王子支部、千葉地裁—事案によりやっている。
4.自己破産
自己破産は、自ら破産を裁判所に申し立てるものです。
破産手続により、債務を一挙に整理してしまうもので、債権者への配当は、支払原資があれば行いますが、支払原資がない場合には、行いません。
ただし、破産者となると、税理士、保険の代理店、警備員などの資格を失います(資格制限)ので、これらの職種の人は、自己破産を選択することが事実上できない場合があります。
その場合には、民事再生法、任意整理、特定調停手続を利用することとなります。
破産申立人が資産を約50万円以上保有しておらず、多額の負債(1000万円程度)を抱えていない場合には、同時廃止手続といって、破産管財人を選任せず、破産手続開始決定と同時に破産を廃止し、ただちに免責手続にはいります。免責決定を受けると、債務を支払わなくてよくなります。同時廃止の場合には、収入印紙が900円、官報公告費用として2万円以下で足ります。ほかに郵便切手が必要となります。
資産を多額に保有していたり、負債総額が多額の場合には、破産管財人を選任して、破産手続を行ないます。
破産管財人の報酬にあてるために、負債総額に応じて、破産予納金が必要となります。東京地方裁判所では、破産予納金は、最低でも20万円が必要とされています。
ほかに、収入印紙が個人が900円(法人は600円)、官報公告費用として2万円以下、郵便切手が必要となります。
破産管財人は、債務の調査をします。また、破産管財人は、資産を売却して換価し、配当原資を集めます。
配当の順序としては、以下の順序となります。
  1. 破産管財人の報酬、経費
  2. 財団債権、公租公課(国税、地方税、社会保険料など)などです。
  3. 労働債権(未払い給与、退職金)
  4. 一般債権(売掛金、貸付金など)
上記の順序で配当されますが、配当原資が足りない場合には、支払える分だけを支払って、破産廃止(異時廃止)または破産終結となります。
最高裁の司法統計によれば、破産事件のうち約9割が一般債権者への配当がない事件です。
弁済原資がない(つまり保有する資産がない)場合で、かつ負債総額が多額ではない場合には、債権者に返済しなくてもよいので、結果的には、費用がそれほど必要ではありません。
ただし、申立てを依頼した弁護士に対する弁護士費用が必要となります。個人の場合には着手金が最低20万円以上(消費税別。以下同じ。)および免責の際の報酬金が最低金20万円以上、会社の場合には最低50万円以上となっています。
  1. (Q)父親が会社を経営していて倒産した。銀行等からの借金や連帯保証債務がある。父親は心労のためか脳溢血で倒れてしまった。
    父親について自己破産したいが、どうしたらよいか。
  2. (A)本人に自己破産の意思があれば、申立は可能。病気等で裁判所に出頭できない場合にも、破産申立を弁護士に依頼し、診断書を裁判所に提出すれば、本人は裁判所に出頭しなくてもよい。
  1. (Q)父親が個人経営で工場を経営していて倒産した。
    労働基準監督署に言って、従業員の未払い賃金の立替払いをしてもらった。
    立て替えた賃金の返済を要求されているが、自己破産しても支払わなければならないか。支払い請求者は、立替金は国の税金でまかなわれているのだから、あくまでも支払ってもらうと言っている。
  2. (A)自己破産を申し立てて、免責を受ければ、支払わなくても済む。
    確かに、国税・地方税等の公租公課は、免責の対象とならない。
    ただし、破産により、破産者が資力を喪失したとして、租税債権の執行停止をしてもらい、事実上支払わなくても済む場合が多い。
    しかし、そもそも、賃金の立替払制度は、労働福祉事業団が行うもので、国税債権ではない。
    本来、賃金は優先的破産債権であるので、賃金の立替払による求償権は、同じ性質のものだから、免責の対象となる。
    したがって、免責決定を受ければ、支払いをしなくても済む。

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