相続・遺産分割・遺言
1.相 続
例えば父親が亡くなった場合、配偶者である母親と子供は、父親の財産を相続します。
財産にはプラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)の両方があります。
2.相続放棄
資産がなく、負債しかない場合には、「相続放棄」をすることができます。
相続の開始と負債の存在を知った時から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をします(民法915条、938条)。
3.限定承認
資産はあるものの、負債も結構多額にあるという場合には、相続した資産の範囲内でのみ負債を支払うという「限定承認」をします。
同様に、相続の開始と負債の存在を知った時から3か月以内に、相続人全員で、家庭裁判所に限定承認の申述をします(民法915条、924条)。
4.相続放棄や限定承認が有効ではない場合
相続する資産を勝手に処分したりすると、相続放棄や限定承認は無効となります(民法921条)。
5.遺産分割
相続人の間で、合意により遺産分割の協議ができる場合には、協議による遺産分割が成立します。
相続人の間で遺産分割の協議が成立しない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。
大部分は遺産分割の調停が成立します。
調停が成立しない場合には、家庭裁判所において、遺産分割の審判に移行します。
家庭裁判所の遺産分割審判に不服があるときは、高等裁判所へ即時抗告することができます。
相続財産が多額の場合には、相続人間の利害対立が激しいので、遺産分割の調停だけでも結構時間がかかります。
そして、遺産分割の調停が成立せず審判に移行する場合には、数年から10年位も経ってしまうケースも稀ではありません。
6.遺 言
相続される人(被相続人)が生前に、誰にどの財産を相続させるかを決めておく遺言があります。
遺言は自筆ですることもできますが、後の争いを避けるために、公正証書にしておくことをお勧めします。
7.遺留分減殺請求
例えば遺言による遺贈・生前贈与などにより、相続人のうち配偶者、直系卑属が本来相続すべき相続分の2分の1を侵害された場合、または直系尊属が相続分の3分の1を侵害された場合には、当該部分について遺留分として、余計にもらった相続人などを相手に、遺留分を取り戻す請求ができます(遺留分減殺請求、民法1028条)。兄弟姉妹の相続人またはその代襲相続人は、遺留分減殺請求権はありません。
遺留分減殺請求は、相続の開始および減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から、1年以内にしなければなりません。
また相続開始の時から10年を経過した時も、遺留分減殺請求はできません(民法1042条)。